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医療・健康・介護のニュース・解説

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大半の入所者の熱が下がり「これで落ち着く」と思ったら…計56人感染

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 埼玉県内の高齢者施設などで新型コロナウイルスのクラスター(感染集団)が相次ぎ発生していることを受け、県は27日から、県内の高齢者入所施設を巡回することを決めた。25日に県内の福祉施設関係者を招集して開いた緊急会議で明らかにした。12月25日まで約1か月をかけて、県内1066施設を県職員が訪問し、感染症対策の基本について改めて周知するほか、質問があれば受け付ける。大野知事は会議後、記者団に「感染対策について、各施設で実際に介護を担当している方に、徹底して周知することが必要」と述べた。

 巡回の対象は、政令指定都市・中核市などを除き、県が許認可や指導監督を行う58市町村にある特別養護老人ホーム、有料老人ホームなど計1066施設。県は、24時間態勢で相談を受けられるようにするため、福祉施設専用の相談ダイヤルも県内の福祉事務所に設置する。

 県高齢者福祉課によると、県内ではこれまで162施設で職員・入所者計523人の感染が確認された。このうち67施設の316人は10月以降の感染だという。

 また、クラスター発生の目安となる、5人以上が感染した施設は22施設(感染者計338人)に上るが、このうち15施設(同246人)は、10月以降に集団感染が発生している。

 知事は「クラスターが発生した施設では、最初の発熱を見逃したり、基礎疾患による発熱と間違えたりしたところが多かった」と指摘。「とにかく多くの方々に感染対策について知ってもらうことが、一人でも多くの命を救うことにつながる」と強調した。

 25日の緊急会議では、クラスター(感染集団)が発生している特別養護老人ホーム「総合ケアセンター リバー・イン」を運営する社会福祉法人「名栗園」の池田徳幸のりゆき理事長が、経緯などについて報告した。

 池田理事長によると、最初に入所者の発熱があったのは、10月28日。この入所者には基礎疾患があり、以前にも何度か発熱があったため、新型コロナの感染を疑わなかった。31日になり、さらに6人が発熱した。それでも、しばらくして大半の人の熱が下がり「これで落ち着くのかな」と思った。

 だが、11月3日、医師からの助言で新型コロナ感染を疑い、保健所などに連絡。5日から検査を行い、30人超の感染が判明した。

 初期段階でコロナを疑っていなかったため、職員はガウンなどを着用せずに入所者と接していた。このため約30人の職員が濃厚接触者とみなされ、検査では陰性だった人も、2週間自宅待機となるなどした。他施設から応援職員を派遣してもらっているが、現在も人手が足りていない状況だ。

 同施設の入所者・職員の感染者は25日時点で計56人に上り、5人が亡くなった。池田理事長は「うつらない、うつさないことが重要」などと呼びかけた。

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