子どもの健康を考える「子なび」
医療・健康・介護のコラム
皮膚のトラブル(5)乳児の湿疹 大半は自然軽快
皮膚のトラブルでは、大阪医科大の森脇真一教授(59)に聞きます。(聞き手・東礼奈)
乳児は生後3か月まで皮脂の分泌が旺盛で、しばしば顔や頭に赤い湿疹ができます。「脂漏性皮膚炎」と呼ばれる皮膚病で、湿疹が黄色く薄いかさぶたに覆われているのが特徴です。特に額、眉間、眉、鼻の周りといった皮脂分泌の多いところ(脂漏部位)によく見られます。
皮脂を好む皮膚の常在菌・マラセチア菌が、湿疹が悪化する原因とされます。見た目がひどいため、母親が子どもを抱いて不安そうな表情で来院されます。
この皮膚病は、〈1〉せっけんやシャンプーを使って顔や頭を洗う〈2〉頭のしつこいかさぶたは白色ワセリンやオリーブ油でふやけさせて洗い流す――という習慣を続けることで治まっていきます。湿疹がひどい場合には一時的にステロイド外用薬を使うこともありますが、遅くとも生後6か月頃には皮脂の分泌量が減るため、自然に軽快します。
その後も症状が続く子は、乳児期の乾燥肌とアレルギーの体質が原因のアトピー性皮膚炎かもしれません。頬、額、目の周りの症状がひどく、体幹、四肢の屈曲部にもじゅくじゅくした病変が生じるほか、かゆみもあります。適切にステロイド外用薬を使えば症状は治まりますが、ひどい時はかゆみ止めの飲み薬も併用します。
多くは1歳半頃には良くなりますが、軽快と再発を繰り返すこともあります。再発防止には、保湿剤を用いた日常的なスキンケアに加え、アレルギーの原因を探る検査も有用です。
乳児の湿疹に対しては、正しい診断と生活指導が重要です。赤ちゃんの顔や頭に湿疹が生じれば、まずは近くの皮膚科専門医やアレルギーが専門の小児科医にご相談ください。
【略歴】
森脇真一(もりわき・しんいち)
皮膚科専門医。大阪医科大卒。京都大、浜松医科大などを経て2009年から現職。医学博士。
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