石蔵文信の「男と女の楽しい更年期!」
医療・健康・介護のコラム
「夫源病」の相談は妻の体調が悪い間に…回復したら離婚の危機がやって来ます
私の外来には、夫から、「妻が夫源病(*)なので診察してほしい」という奇妙な依頼が時々あります。その時には、「夫源病をご存じなのですか?」と、いつもお尋ねします。「あなたが原因で妻の体調が悪くなっていることに自覚はあるのでしょうか?」と聞くと、「自分の言動が悪いことに気が付きました。妻が別居や離婚を言い出したので、何とかしてほしい」と泣きつかれます。
* 夫の心ない言動がストレスになり、妻の体調が悪化すること。
決断したら悩みも不調も解消

そこで、「今までの自分の態度を反省して、今後、言動を改めていただけるなら診察しましょう」とお話しして、奥さんが受診されるかどうかを尋ねてみます。夫源病の場合、夫との関係が悪く、「一緒に住みたくない」という気持ちと、「子供や生活費をどうすればいいのか」という問題が、自分の中でぶつかり合って、体調が悪くなってしまうのですが、3割ほどの妻は診察を拒否します。よくよく聞いてみると、半年くらい前までは非常に体調が悪かったが、最近は全く問題がないというのです。さらに話を聞いているうちに、妻からは、「もう離婚を決意したので、元に戻ることはありません。夫を説得して、離婚を了解させてほしい」と頼まれます。
夫にそのことを話すと、「それでも何とかしてほしい」と、また泣きつかれるので、その後は、夫だけと面談することもあります。こうした場合、妻が「離婚するかどうか」について悩んだのは、もう半年ほど前であることが多いようです。
しかし、離婚の不利益よりも、夫と一緒にいるつらさの方が勝って、ついに離婚を決意。そこまでいくと、体調は、自然に改善に向かうようです。悩みごとで体調を崩すのは、多くの場合、「板挟み」にあっている時です。何らかの「決断」をすれば、悩みも体の不調も解消していきます。
つまり、体調が改善した妻には、「もう取り付く島がない」ということです。それでも粘る夫に対し、今度は妻から、色々な条件を出されます。私が聞いた妻の離婚条件を軽い順に挙げていきましょう。
- 財産の分与と子を養育する権利を要求する
- 養育する権利がもらえれば、お金はどうでもいい
- 財産の分与も養育する権利もいらない。とにかく離婚したい
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