今井一彰「はじめよう上流医療 あいうべ体操で元気な体」
医療・健康・介護のコラム
「原因不明の病気」と言われたら、確認しておくべき体の部位は?
診察室で医師から病名を告げられたが、難しそうな漢字だらけで、すぐに理解することができなかった――。そんな経験をしたことがある人は少なくないでしょう。医学書にはたくさんの病名が載っていて、私でも見たことも聞いたこともないような病名があり、それは今でも増え続けています。
健康保険で使用される病名は2万5000ほどあり、けがや事故など原因がはっきりしているものもありますが、原因不明の病気もたくさんあります。生まれて初めて聞かされた病名、しかも、それが原因不明と言われれば、誰しも不安になるものです。
突然の首元の腫れと痛み 診断名がつかず
40代のYさんは、突然の首元の腫れ、痛みに襲われ、日常生活に支障が出るほどでした。痛み止めも効かず、いろいろな医療機関を受診しても診断名がつかず、途方に暮れるばかりです。やっと診断されたときはホッとする一方、初めて目にする病名に「体がどうなっていくのだろう」という不安も押し寄せてきました。
病名は「 胸肋鎖骨 過形成症」。英語の略で「SCCH」と呼ばれ、症状としては胸鎖関節(胸骨と鎖骨の間の関節)の腫れ、痛みがあり、背骨やあばら骨のきしむような痛みもあります。SCCHの患者は、他の病気を合併していることが多く、やはり、Yさんも 掌蹠膿疱症 を合併していました。
このSCCHも原因不明の病気と言われるのですが、文献的には 扁桃 摘出術が効果的な症例が多く、病巣疾患の一種であると考えられます。
病巣疾患とは、鼻や喉、口の慢性炎症が免疫異常を引き起こし、そことは離れた遠隔臓器に病気をもたらしてしまっている状態です。腎臓(IgA腎症)や関節(反応性関節炎、関節リウマチ)、皮膚(掌蹠膿疱症)、網膜(原田病)など様々な臓器が標的となります。慢性炎症をもたらしている部位を原病巣といいます。
Yさんも、診断がついた後、ビオチン(ビタミンH)を服用して痛みは軽くなったのですが、やはり胸鎖関節の腫れが残るということで受診しました。
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