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中川恵一「がんの話をしよう」

医療・健康・介護のコラム

発がんの最大の要因は「運」!?

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遺伝子のコピーミスでがん細胞が発生

発がんの最大の要因は「運」!?

 がんは増殖に関する遺伝子に変異が積み重なって細胞が不死化することが原因です。そして、細胞分裂の際に、この突然変異がもっとも起こりやすくなります。

 細胞の分裂に先だって、遺伝子の複製が行われますが、ここでDNAが不安定となり、遺伝子の「コピーミス」が起こることがあります。この突然変異が、たまたま発がんに関連する遺伝子に起こると、がん細胞ができやすくなります。

 心臓にほとんどがんができないのは、心筋細胞では原則、細胞分裂がみられないため、突然変異もみられないことが理由です。

 脳には悪性の脳腫瘍ができることがありますが、これは神経細胞から発生するものではありません。神経細胞は、常時伸縮している心筋細胞と同様、極度に「分化」していて(電気を使って、情報通信を行っています)、細胞分裂は行えません。神経細胞を支え、自身は細胞分裂も行う「神経膠(こう)細胞」から多くの悪性脳腫瘍が発生するのです。

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中川 恵一(なかがわ・けいいち)

 東京大学大学院医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。
 1985年、東京大学医学部医学科卒業後、同学部放射線医学教室入局。スイスPaul Sherrer Instituteへ客員研究員として留学後、社会保険中央総合病院(当時)放射線科、東京大学医学部放射線医学教室助手、専任講師、准教授を経て、現職。2003~14年、同医学部附属病院緩和ケア診療部長を兼任。患者・一般向けの啓発活動も行い、福島第一原発の事故後は、飯舘村など福島支援も行っている。

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