文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

産業医・夏目誠の「ハタラク心を精神分析する」

医療・健康・介護のコラム

お葬式など厳粛な場面で笑いたい衝動が……これはなぜ?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

笑いたい衝動は強迫思考

私   :精神医学で説明しますと「強迫思考」と言います。あなたの意思と無関係に頭、心に浮かんできます。それが反復し、浮かび続けます。止めようとしても止められません。それが、現実に起こることはありません。そこは安心してくださいね。

伊神さん:強迫思考ですか、初めて聞きました。病気ですか?

私   :日常生活に大きな支障があれば、病気ということになります。昔は、ノイローゼ(神経症)と呼んだものです。例えば、そのために会社を休まざるを得なかったり、仕事の能率が落ちたり、ミスが増えたりすれば、病気と呼んでいいと思います。あるいは医師の診断を受け、治療している場合もそうですね。強迫思考を持ちながら悩んでいる多くの人は、病気と言うよりもストレス過剰状態でしょうか。

どうすれば衝動は止まるのか?

伊神さん:どうすれば良いのでしょうか?

私   :相談に来られたわけですから、不安や恐怖感が強いわけですね。対応法はあります。まずは、薬物療法です。薬の効果によって、多くの人は半分くらいに症状が楽になりますね。軽快してからカウンセリングをします。

伊神さん:半分くらいは楽になるのですね。

私   :治療を希望されるならば、私の相談日に受診してください。

伊神さん:少し考えます。病気かどうか、自分でもう少し検討します。

私   :分かりました。

妻や親とも相談して受診

伊神さん:先生、いろいろ考えました。妻や親とも相談しました。親が言うには高校生の頃、お葬式でつらそうな表情をしているのに気づいたそうです。妻は、私が「心、ここにあらず」の状態になることに何回か気づいたことがあると言っていました。親も妻も気づいているし、私もこの考えを減らしたいので、治療することに決めました。

私   :分かりました。ほかに、これに類した衝動はありませんか?

2 / 4

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

natsume-prof

夏目誠(なつめ・まこと)

 精神科医、大阪樟蔭女子大名誉教授。長年にわたって企業の産業医として従業員の健康相談や復職支援に取り組み、メンタルヘルスの向上に取り組んでいる。日本産業ストレス学会元理事長。著書に「中高年に効く! メンタル防衛術」「『診断書』を読み解く力をつけろ」「『スマイル仮面』症候群」など。新著は企業の人事や産業医向けの「職場不適応のサイン」ウェブ書籍「メンタル・キーワード療法~5分でできる簡易セラピー」。
夏目誠の公式ホームページ」「精神科医マコマコちゃんねる - YouTube

産業医・夏目誠の「ハタラク心を精神分析する」の一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事