産業医・夏目誠の「ハタラク心を精神分析する」
医療・健康・介護のコラム
お葬式など厳粛な場面で笑いたい衝動が……これはなぜ?
笑いたい衝動は強迫思考
私 :精神医学で説明しますと「強迫思考」と言います。あなたの意思と無関係に頭、心に浮かんできます。それが反復し、浮かび続けます。止めようとしても止められません。それが、現実に起こることはありません。そこは安心してくださいね。
伊神さん:強迫思考ですか、初めて聞きました。病気ですか?
私 :日常生活に大きな支障があれば、病気ということになります。昔は、ノイローゼ(神経症)と呼んだものです。例えば、そのために会社を休まざるを得なかったり、仕事の能率が落ちたり、ミスが増えたりすれば、病気と呼んでいいと思います。あるいは医師の診断を受け、治療している場合もそうですね。強迫思考を持ちながら悩んでいる多くの人は、病気と言うよりもストレス過剰状態でしょうか。
どうすれば衝動は止まるのか?
伊神さん:どうすれば良いのでしょうか?
私 :相談に来られたわけですから、不安や恐怖感が強いわけですね。対応法はあります。まずは、薬物療法です。薬の効果によって、多くの人は半分くらいに症状が楽になりますね。軽快してからカウンセリングをします。
伊神さん:半分くらいは楽になるのですね。
私 :治療を希望されるならば、私の相談日に受診してください。
伊神さん:少し考えます。病気かどうか、自分でもう少し検討します。
私 :分かりました。
妻や親とも相談して受診
伊神さん:先生、いろいろ考えました。妻や親とも相談しました。親が言うには高校生の頃、お葬式でつらそうな表情をしているのに気づいたそうです。妻は、私が「心、ここにあらず」の状態になることに何回か気づいたことがあると言っていました。親も妻も気づいているし、私もこの考えを減らしたいので、治療することに決めました。
私 :分かりました。ほかに、これに類した衝動はありませんか?
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