自己免疫性膵炎の診断
小さいがんを見つけるPET/CT検査で「自己免疫性 膵炎 」と診断されました。特に症状はなく投薬も受けていません。医師は「黄だんが出始めたらステロイド薬を飲む治療をする」と言います。病気について教えてください。(71歳男性)
黄だん出たらステロイド
神沢 輝実 東京都立駒込病院院長(消化器内科)
自己免疫性膵炎は、免疫反応の異常で膵臓が腫れる病気で高齢の男性に多く発症します。PET検査は、がんがあると陽性になりますが、多数の炎症細胞が集まる自己免疫性膵炎でも陽性になります。典型的な自己免疫性膵炎は膵臓が全体的に腫れます。腫れが局所的な場合は膵臓がんと間違いやすく鑑別が重要です。
自己免疫性膵炎は、血液中の免疫たんぱくの「IgG4」が増え、診断の目安になります。膵炎で通常みられる激しい腹痛は少なく、膵臓の体部や尾部のみが腫れた場合は多くが無症状です。ステロイド薬には糖尿病や骨粗しょう症の発症などの副作用があり、無症状では治療はせず、経過観察が多くなります。
この間、飲酒は控え、定期的に血液検査と、エコーや磁気共鳴画像(MRI)の画像検査を受けることをお勧めします。
炎症が、十二指腸や胆管などと接する頭部まで進むと、胆管が詰まって黄だんがしばしばみられます。肝臓などに悪影響が出るので治療が必要になります。
炎症を抑えるステロイドがよく効き、通常数週間で改善し始めます。プレドニゾロンという薬を1日6~8錠、2~3週間内服後、徐々に薬の量を減らします。ただ、多くは、再発防止のために1日1錠程度のステロイドの内服をしばらく続けます。