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血中アミノ酸バランスで認知症を早期発見 「アミノインデックス」検査に新たな可能性

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 味の素は10月26日に記者説明会を開き、血液中のアミノ酸バランスから認知機能低下のリスク評価が可能になったと発表。同社の「アミノインデックス」検査を認知症予防にも活用しうるとの展望を示した。説明会では、新潟大学脳研究所生命科学リソース研究センター遺伝子機能解析学分野教授の池内健氏、東京都健康長寿医療センター研究所研究部長の北村明彦氏が、高齢化が進む日本において、食事介入により認知機能低下を防止することの重要性をそれぞれ訴えた。

MCIに特徴的なアミノ酸バランスの変化

血中アミノ酸バランスで認知症を早期発見 「アミノインデックス」検査に新たな可能性

 池内氏は日本の高齢社会について、「65歳以上の高齢者は約3,000万人。その約4分の1になんらかの認知機能低下があるのが現状。認知機能低下者は今後も増え、今年(2020年)で631万人、2025年には730万人に達し、その後も増え続ける。認知症の克服が大きな問題になっている」との認識を示した。

 認知機能正常と認知症の境界領域として、軽度認知障害(MCI)という概念が提唱されて約20年経つ。同氏によると、MCIは年間5~15%が認知症に移行する高リスク群であり、MCIから認知症に移行させない、あるいは移行を遅らせることが重要だ。

 2017年から新潟大学と味の素は共同で、MCIコホート研究を行っている。これは、全国13の大学・医療機関が参加して、MCIの人約400人と認知機能正常者約300人を対象に、血中アミノ酸のデータを取集。両者の血中アミノ酸バランスを比較することで、MCIに対する新しい評価方法を開発しようという取り組みだ。同氏は「認知機能低下が軽度なMCI期において早期発見を行い、日常生活を見直すことで、認知症になりにくい生活習慣を身に付けることができる」と研究の狙いを説明した。

 研究の成果として、MCIに特徴的な血中アミノ酸バランスの変化が認められた。すなわち、MCIの人は必須アミノ酸濃度が低く、蛋白質摂取不足など栄養面に問題が生じている可能性が考えられたという (図) 。同氏は「アミノ酸バランスという新たな観点から、認知機能低下の早期発見や進行抑制に取り組む意義が示された」と述べた。

図.MCIにおける血中アミノ酸バランスの変化

血中アミノ酸バランスで認知症を早期発見 「アミノインデックス」検査に新たな可能性

(記者説明会資料)

低炭水化物・高蛋白質の食事+フレイル予防を

 北村氏は「認知機能は加齢に伴って低下するが、重要なのは認知症へと進行する病的な低下を防ぐことだ」と指摘。生活習慣改善の意義を解説した。

 運動については、歩くことが取り組みやすい手段である。1日の歩行時間が累計1時間以上の人は、30分未満の人よりも認知症の発症リスクが抑えられているという報告がある。睡眠時間は長ければよいというわけではなく、6~9時間の場合に認知症リスクが最も低いという報告がある。睡眠の質も重要である。

 食事については、認知機能が正常な70~89歳の高齢者937人に食事調査を実施して3.7年間追跡し、MCI発症リスクを解析した米国の研究を紹介( J Alzheimers Dis 2012;32:329-339 )。MCI発症のハザード比は、炭水化物摂取比率が最低(47%未満)の群に比べ最高(58%超)の群で1.89、蛋白質摂取比率が最低(16%未満)群に比べ最高(20%超)の群で0.79だったことから、低炭水化物・高蛋白質の食事が認知機能低下の防止に有用との解釈を示した。

 同氏は「認知症の危険因子は生活習慣と密接に結び付いており、それを改善することでリスクを抑えることができる。加えてフレイルの予防も重要。フレイルと認知症・認知機能低下は相互に関連しており、フレイル予防のためにも十分な蛋白質摂取が必要である」と考察。前述のMCIコホート研究の解析結果から、どのようなアミノ酸が認知機能低下予防に有効か解明されることに期待を示した。

検査結果を基に生活習慣改善のアドバイスも

 味の素によると、アミノインデックス検査は「未病」の状態を可視化することによって、生活習慣の早期改善につなげることをコンセプトとした検査。これまでに、がんリスクスクリーニングを皮切りに、糖尿病や栄養状態を評価できるアミノ酸濃度検査、将来の脳卒中・心筋梗塞リスクを評価できる検査と用途を拡大している。

 同社では「検査結果を基に生活習慣のリスクタイプを分類。リスクタイプに従って、生活習慣の改善行動などのアドバイスを提供していきたいと」としている。具体的には、来年3月をめどに、ユーザーごとのマイページを開設する意向。メルマガ配信も予定しており、「よりパーソナライズな改善アドバイスの提供が可能になる」と展望している。(編集部)

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