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空間認識などの領域が増大 体操トップ選手の脳を分析 競技力との相関も

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順天堂大の研究グループが発表

空間認識などの領域が増大 体操トップ選手の脳を分析 競技力との相関も

 体操のトップ選手は、運動機能などに関わる脳の領域が一般人よりも大きく、特にトップ選手の中でも競技力のレベルは空間認識や視覚、感覚情報の統合に関わる領域の大きさと相関しているとの研究結果を、順天堂大などの研究グループが発表した。新たなトレーニング法の開発や競技能力の評価手法につながる可能性があるとしている。日本生理学会の英文機関誌「The Journal of Physiological Sciences」オンライン版に掲載された。

 

運動機能に関わる領域大きく

 それによると、近年、スポーツにおける脳の様々な領域の働きが注目されており、体操選手は、ある領域の脳の灰白質(かいはくしつ)が大きいとの海外の研究もある。順天堂大のグループは、同大を含む日本代表レベルの男子体操選手10人(平均年齢19.9歳)と体操の競技経験がない健康な男子10人(同20.6歳)について、脳のMRI(磁気共鳴画像)3次元画像を基に、灰白質の体積を比較した。さらに、選手の競技力との関係も調べた。

 その結果、体操のトップ選手は、競技経験のない人に比べ、脳の「下頭頂小葉」、「中側頭回」、「中心前回」、「吻側中前頭回」、「上前頭回」の灰白質の体積が、統計的に有意な差で大きかった。これらの領域は、運動機能や空間認識、視覚、感覚情報の統合、実行機能、作業記憶といった体操競技に密接な関わりのある機能をコントロールしているという。

トップ選手間の競技力とも関係

 研究ではまた、10人の体操トップ選手一人ひとりについて、体操競技の採点方式の一つで技の難しさなどを評価する「Dスコア」と、脳の領域の大きさの関係について調べた。

 総合競技力を表す「ゆか・あん馬・つり輪・跳馬・平行棒・鉄棒」の6種目のDスコアの平均値で比較したところ、下頭頂小葉(空間認識、視覚、感覚情報の統合に関わる領域)、吻側中前頭回(実行機能、作業記憶に関わる領域)で、統計的に有意な相関があった。種目別では特に、つり輪、平行棒で有意な相関が認められた。

 一方、骨格筋の制御に直接関わる脳の「中心前回」領域の大きさとは、相関が認められなかった。

VRによるトレーニングなども

 研究グループの順天堂大スポーツ健康科学部の和気秀文教授(生理学)によると、体操のトップ選手は幼少の頃から体操競技を続けていることから、長年の運動によって脳に変化を生じさせた可能性が考えられる。ただし、体操を始めた頃から得意だったというケースもよくみられるように、後天的に生じた変化なのか元々ある特徴なのかは、分からないとしている。

 和気教授は「体操の競技力と、脳の空間認識などとの相関が示されたことで、例えば、VR(仮想現実)を活用したトレーニング法の開発などにもつながる可能性がある」としている。

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