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田村専門委員の「まるごと医療」

医療・健康・介護のコラム

切除以外の治療法がない胞巣状軟部肉腫に対する医師主導治験がスタート

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免疫チェックポイント阻害薬「アテゾリズマブ」

切除以外の治療法がない胞巣状軟部肉腫に対する医師主導治験がスタート

 全国での年間発症数が10人程度と極めて少ないがん「胞巣状軟部肉腫」に対する新薬の医師主導治験が、国立がん研究センター中央病院などで始まった。治験は成人患者を対象に行われるのが一般的だが、このがんはAYA世代と呼ばれる若年者に多いことから、16歳以上を対象に行われる。

 薬は、肺がんの一部などに対して承認されている免疫チェックポイント阻害薬「アテゾリズマブ」(商品名テセントリク)で、肉腫では初めてとなる免疫チェックポイント阻害薬の国内承認を目指す。治験の主体となる同センターでは、患者数の少ない希少がんやAYA世代のがんでの治療薬開発の新たなモデルを構築し、加速させたいとしている。

切除できない場合の治療薬はなく

 同センターによると、軟部肉腫とは、筋肉などの軟部組織から発生した悪性腫瘍のことで、手足をはじめ、体のいろいろな部位に発症する。胞巣状軟部肉腫は四肢や太もも、尻などにでき、軟部肉腫の中でも約1%と少なく、国内では年間10例(2013年)と超希少ながんだ。

 既存のがん治療薬で効果が期待されている薬はあるものの、国内では軟部肉腫に対して承認されていない。このため、切除不能な胞巣状軟部肉腫には、基本的に緩和治療のみが実施されているという。

米国の臨床試験で有効性の報告

 今回、治験が行われるアテゾリズマブは、ニボルマブ(商品名オプジーボ)などで知られる新しいタイプのがん治療薬「免疫チェックポイント阻害薬」で、がん細胞の免疫機能に対するブレーキを解除し、がん細胞を攻撃する力を高める働きがある。アテゾリズマブは、国内でも切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんなどに対して承認されている。

 米国で行われた臨床試験で、胞巣状軟部肉腫の患者31人のうち10人に腫瘍が縮小するという効果が認められた。この結果を受けて、日本でも医師主導の臨床試験が計画された。

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田村 良彦(たむら・よしひこ)

 読売新聞東京本社メディア局専門委員。1986年早稲田大学政治経済学部卒、同年読売新聞東京本社入社。97年から編集局医療情報室(現・医療部)で連載「医療ルネサンス」「病院の実力」などを担当。西部本社社会部次長兼編集委員、東京本社編集委員(医療部)などを経て2019年6月から現職。

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