山中龍宏「子どもを守る」
医療・健康・介護のコラム
2センチのボールを詰まらせた1歳女児 母が指を入れたら、さらにはまり込み…5日目に死亡
これまで、食べ物による気道異物・窒息についてお話ししてきましたが、食べ物以外のものが気道に詰まることがあります。実際の事例をみてみましょう。
ボールペンのキャップが左主気管支を閉塞
事例1:3歳9か月男児。自宅の居間で、スーパーボール(直径35ミリ)を二つ、口の中に入れて遊んでいた。母親が気づいて、「危ないのでボールを口から出しなさい」と叱ったところ、驚いて二つのうちの一つを吸い込み、窒息状態となった。残りの一つは口の外に出した。母親が口の中に指を入れて摘出しようとしたが取り出せず、救急要請した。窒息から37分後に入院し、喉頭に詰まったスーパーボールを摘出した。6か月後に死亡した。
事例2:2013年3月。1歳11か月女児。自宅のベランダで、子どもたちだけで水風船(長さ:4.5センチ、最大径:1.1センチ、最小径:0.8センチ)で遊んでいた。兄が、女児が風船を飲んだことを母に伝え、母親が見に行くと呼吸状態がおかしく、救急要請した。30分後に入院し、約40日後に退院した。かかった医療費総額は約536万円であった。
事例3:14年9月。3歳1か月女児。居間で、画用紙に絵を描いていた。突然、泣き出し、せき込んで、呼吸が苦しそうになった。ボールペンは、ノックするキャップ(19ミリ×6ミリ)と本体が離れないようになっていたが、歯でかんで飲み込んだようだった。左主気管支がキャップで完全に 閉塞 されており、気管支鏡で摘出した。キャップに穴は開いていなかった。4日間、入院した。医療費総額は約84万円だった。
事例4:17年9月。8か月女児。トレーディングカードゲームに付属していたプラスチックのサイコロ(1辺が2センチの立方体)をのみ込み、口唇がチアノーゼとなり、陥没呼吸(呼吸困難のため、息を吸う時に胸の一部が陥没すること)が認められた。喉頭に詰まっていたサイコロを取り出し、入院5日目に退院。
事例5:10歳の男児。せきが長引いているためレントゲン写真を撮ったところ、右の気管支に小さなコイルが写っていた。よく聞いてみると、1年前におもちゃのバネを放りあげ、口で受けて遊んだことがあるとのことであった。入院して、気管支鏡を使って取り出した。
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