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沖縄の希少動物、交通禍減る…コロナで観光客減が影響か

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 沖縄県に生息する希少動物の交通事故が、今年に入って減少している。同県竹富町の西表島のみに生息するイリオモテヤマネコについては、11年ぶりに事故死ゼロが1年を超えた。沖縄本島北部のみに生息するヤンバルクイナも、事故件数が今年は過去10年で最少ペース。新型コロナウイルスの影響による観光客減で、車の往来も減ったためとみられる。収束後にはまた交通量が増えることが予想され、環境省などは引き続き注意を呼びかけている。

事故死ゼロ1年…イリオモテヤマネコ

イリオモテヤマネコ 成獣は体長約60センチ、体重は3~4キロ。環境省のレッドリストでは、最も絶滅の恐れが高い「絶滅危惧1A類」に分類されており、生息数は推定約100匹。1977年に国の特別天然記念物に指定された。(環境省西表野生生物保護センター提供)

 同省西表自然保護官事務所(沖縄県竹富町)によると、西表島内で交通事故に遭ったとみられるイリオモテヤマネコの死骸が見つかったのは、昨年11月3日が最後。事故死ゼロは4日現在で367日間となった。

 夜行性のため、夜間に事故に遭遇しやすく、2019年は3匹、18年は6匹など、最近は年2~7匹が犠牲になっている。事故死ゼロが1年を超えるのは、08年5月~09年7月に記録した446日間以来。また、交通事故による負傷事例も昨年12月11日が最後で、「無事故」の期間も4日現在で329日間となった。

 同事務所の担当者は「コロナ禍で観光客が激減し、レンタカーの通行が減った上に、観光ガイドをする島民らも外出を控えたため、車の往来自体が減ったのが主な要因ではないか」と分析する。竹富町によると、今年1~9月に西表島に入った観光客数は計約10万9600人。19年の同時期は約21万8900人で、今年は半数近くに減少した。

10年で最少水準…ヤンバルクイナ

ヤンバルクイナ 1981年に新種として発見されたクイナ科の飛べない鳥。全長は約30センチ。82年に国の天然記念物に指定された。生息数は約1500羽と推定されている。レッドリストでは「絶滅危惧1A類」に分類されている。

 また、同省やんばる自然保護官事務所(同県国頭村)によると、ヤンバルクイナの交通事故は、今年は11月4日までに19件発生し、17羽が死んだ。ただ、19年の31件(死んだのは29羽)よりも少ない。11年以降の10年間でみると、最も少なかった18年の23件(同18羽)よりも低い水準となっている。同事務所の担当者は「例年は繁殖期で行動が活発になる4~6月に事故が多いが、コロナ禍の影響でこの期間での交通量はかなり少なく、事故減少につながったと思う」と話す。

 環境省は、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」(鹿児島、沖縄両県)を世界自然遺産の候補地とし、登録に向けた手続きを進めている。こうした地域に生息する希少動物の事故死を防ぐため、西表島内ではイリオモテヤマネコの目撃情報をフェイスブックに毎月掲載したり、沖縄本島北部では事故の多い場所に注意を促す看板を設置したりしている。

 夜間のパトロールなどでイリオモテヤマネコの保護活動に取り組んでいるNPO法人「トラ・ゾウ保護基金」(東京)西表島支部事務局長の高山雄介さん(39)は「無事故期間が継続していることを周知することが、ドライバーへの注意喚起につながる」と指摘。「10月以降はまた車の往来が増えつつある。世界自然遺産への登録に向けて、希少生物を保護することの大切さを地道に訴えていきたい」と話している。

(高橋宏平)

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