今井一彰「はじめよう上流医療 あいうべ体操で元気な体」
医療・健康・介護のコラム
「よくなる」「できる」…自分への言葉かけで体が変わる 炭治郎もやってるペップトーク
上流医療は、これまで主に鼻や口から入るものを扱ってきました。食事や空気などは、できるだけ体に良い物を取り入れたいですね。さて、今回は逆に口から出ていくものの話です。とはいっても、 咳 やたん、吐しゃ物ではありません。
口から出てくるものと言えば、そう「言葉」です。私たちは、女性なら2万語、男性なら7000語を一日で発しているそうです。そして、そのほとんどを無意識に使っています。
「どうせ」「だって」「でも」の3D言葉
呼吸もそうですが、自分が鼻と口のどちらで呼吸をしているのか、なんて意識しながら生活していません。「無くて七癖」と言いますが、これには口癖やため息も含まれます。「どうせ」「だって」「でも」の頭文字を取って「3D言葉」と言いますが、そんな後ろ向きな言葉ばかり口にしていると、周囲の人だけでなく、自分自身の体にも影響が及ぶかもしれません。
注射という文字を見て、喜びを感じる人はあまりいないでしょう。多くの人にとって注射は嫌なものです。注射前にかけられた言葉で、痛みが変わってくるという研究があります。「大きなハチに刺されたような痛みがあります」と言われたグループと「治療が楽にすすむように局所麻酔をします」といわれたグループでは、同じ注射であっても痛みの感じ方に変化があるのです。もちろん後者の方が痛みを少なく感じます。
プラセボ効果とノセボ効果
新薬の研究で使われる効き目のない偽薬をプラセボといいますが、プラセボでも効果が出る人がいて、これをプラセボ効果と言います。そしてなんと、副作用の説明をすると、もともとそのような反応が起こるはずがないのに副作用の症状が出てしまうことがあります。この現象をノセボ効果といいます。「胃のむかつきが出るかも知れません」と言われると、そのような症状が出てしまうのです。この注射前の言葉かけ研究はノセボ効果を示したものです。
では、他人から言われた言葉でも症状や心持ちがするなら、自分が無意識のうちについつい発している言葉だと、どんな変化が起こるのでしょうか。そして、それを意識的に変えると、どのような変化が出るのでしょうか。
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