尾てい骨の左側が痛む
3児のいる46歳の娘。約1年半前から、尾てい骨の左側が痛みます。検査では異常なし。立っている時は痛くないけれど、車の運転などで座っている時に痛いそうです。治療法はないですか。(71歳女性)
仙腸関節なら局所麻酔
村上栄一 JCHO仙台病院院長・日本仙腸関節研究会代表幹事(仙台市)
尾てい骨(仙骨)の外側が痛くて、レントゲン検査で異常の出ない 臀部 痛で最も疑われるのは仙腸関節の痛みです。
仙腸関節は中央の仙骨と左右の腸骨で形成される骨盤の関節で、長時間の腰掛け作業や、不意に重い物を持ち上げた時にズレが起きて痛みます。数ミリ程度しか動かない関節のため、ズレが起きてもレントゲン検査では異常が出ず見逃されがちです。しかし、特徴的な痛みがあります。
指一本で最も痛い場所を指してもらい、尾てい骨の斜め上付近が示される場合は、仙腸関節の痛みの可能性が高くなります。我々の調査では、この部位を指さした100人のうち85人が仙腸関節の痛みでした。股関節の痛みも出やすく、座っている時や寝返りの時、あおむけや痛い側を下にした横向きでいる時に痛むことが少なくありません。
診断にも治療にも有効なのが仙腸関節に局所麻酔薬を注射するブロック治療です。これで痛みが軽快すれば診断が確定します。数回の注射で症状が改善する場合が多いです。ゴムベルトを骨盤に装着することや、施術者が関節のズレを手で矯正する方法(AKA・博田法)も有効です。
日常生活では中腰での不意の動作や長時間の座り作業には注意が必要です。日本仙腸関節研究会のサイトで情報提供しています。