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医療・健康・介護のコラム

脚の痛み(6)膝関節の軟骨すり減り炎症

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  このシリーズでは、関節外科が専門で関西労災病院(兵庫県尼崎市)副院長の津田隆之さんに聞きます。(聞き手・長尾尚実)

脚の痛み(6)膝関節の軟骨すり減り炎症

 立ち上がる時や階段を下りる時に膝が痛む。年齢とともにこんな症状が出ていませんか。膝の関節の軟骨がすり減り、周りが炎症を起こして痛むのが、変形性膝関節症です。初期の段階なら少し休むと痛みは治まりますが、年齢を重ねると痛みも強まります。

 膝の関節の変形は、体重による負担で進みます。肥満気味の人はより大きな負担が膝にかかっており、減量した方が良いでしょう。

 O脚やX脚の人はこの病気になるリスクが高まります。O脚は膝の関節の内側、X脚は外側に体重がかかるため、それぞれの場所の関節がすり減ります。重心は痛みのある方にさらに寄るので、症状が悪化する悪循環に陥ります。

 膝は日常のあらゆる動作で脚への衝撃を吸収しています。関節全体が膜に包まれ、膜の中は潤滑油の役目をする関節液に満たされていますが、炎症が起きると関節液が異常に増えます。「膝に水がたまる」と呼ばれる状態です。膝の関節は100ccほどの関節液をためることができ、触ると大きく腫れているのが分かります。

 変形性膝関節症の特徴は、最初のうちは安静にするといったん痛みが和らぐことです。患者さんにいつから痛み出したか聞くと、ほとんどの方が長期間、痛みとつき合いながら生活しています。手術の相談を受けていても「まだ我慢できそうだから様子を見てみる」という方もいます。

 ただ、わずかな歩行でも強い痛みに襲われ、日常生活に支障をきたすようになると、人工関節を入れるなどの治療に踏み切る必要が出てきます。

津田隆之さん

【略歴】
 津田 隆之(つだ・たかゆき)
 三重県多気町出身。1982年、大阪大医学部卒、90年、同大学院修了。星ヶ丘厚生年金病院(現・JCHO星ヶ丘医療センター)整形外科部長、箕面市立病院医務局次長などを経て、2017年4月から現職。専門は関節外科、骨粗しょう症の疫学。市民向け講演会などで、脚の痛みを起こす病気や治療法、転倒予防について解説している。

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