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リングドクター・富家孝の「死を想え」

医療・健康・介護のコラム

手術を3回体験して思う「30年前なら生きていない」!?……心臓病検査のすすめ

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 70歳代になってから、私は、死を本当に身近に感じるようになりました。先日、入院して心臓のステント留置手術を受けたので、今は特にそう感じています。これで心臓の手術は3回目。いずれも冠動脈が詰まって血流が滞る狭心症です。これが突発的に起こった場合は急性心筋 梗塞(こうそく) となって、死に至ることがあります。ひとつの教訓として、年を取ったら心臓の検査を1度は受けることを強くお勧めします。

 

父は動脈瘤破裂で死亡、私も心臓血管が心配だった

 医師だった私の父は70歳の時に動脈 (りゅう)破裂で倒れ、その日のうちに亡くなっています。日頃、誰にも迷惑をかけずに逝くと言っていたので、その通りになりました。そんな父を見ていたので、私も年を取ったら、いつか心臓血管系をやられるのではと思っていましたが、本当にそうなりました。ただし、早すぎました。

 私が初めて胸に違和感を覚えたのは、57歳の時。2004年の暮れのことで、朝方に左胸が痛くなり、冷や汗が出たのです。心臓の血管になにか異変が起きたと直感しました。医学生のときに心疾患を起こすと、「胸痛、圧迫感、奥歯の痛み、左肩痛」などの症状が出ると習ったからです。

 もし、私が医者でなかったら、しばらく症状をみていたかもしれません。しかし、父親のこともあり、私は即座に懇意にしていた心臓外科医の 南淵(なぶち) 明宏氏に連絡を取ったのです。

 CTと心電図では異常が見られませんでしたが、エコー(超音波)を見ると左室が動いていませんでした。心臓にある左冠動脈 前下行枝(ぜんかこうし) の一部が詰まっていたのです。南淵氏の判断で、カテーテルを使って血管を広げ、筒状の器具を入れるステント留置手術をすることになりました。手術後、「ステントを入れても、何年かすればまた動脈が詰まることがあります。そうなると、バイパス手術が必要になります」と言われました。

2度目はバイパス手術

 南淵氏が言ったとおり、最初の手術からちょうど8年後の2012年の暮れ、私は再び胸痛に襲われたのです。この時は背中にも痛みが出ました。それで再び連絡して検査を受けると、今度は左冠動脈の上部がほとんど詰まっていました。この時は開胸してバイパス手術を受け、事なきを得ました。詰まった冠動脈をうかいして、体の他の部位から切り取った静脈や動脈を使ってバイパスをつくり、血流を回復させる手術です。約2週間入院して、お正月を病院のベッドの上で過ごしました。

 彼の手術を受けながら、私が思ったのは、昔だったらこうはいかなかったということです。私は助からなかったかもしれません。私が医学生だったころの狭心症の治療といえば、心電図を取って、ただ冠拡張剤を処方するだけでした。1990年代になるまで、ステント留置手術もバイパス手術も日常的な治療ではなかったのです。30年で大きく進歩した分野のひとつでしょう。

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富家 孝(ふけ・たかし)
医師、ジャーナリスト。医師の紹介などを手がける「ラ・クイリマ」代表取締役。1947年、大阪府生まれ。東京慈恵会医大卒。新日本プロレス・リングドクター、医療コンサルタントを務める。著書は「『死に方』格差社会」など65冊以上。「医者に嫌われる医者」を自認し、患者目線で医療に関する問題をわかりやすく指摘し続けている。

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寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受

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高齢になるに従い、放射線の影響は少なくなると言われてますので、CTやMRIなどを有効に活用して全身丸ごとチェックすることが大事だと思います。

新型コロナウイルスは血栓を誘発すると言われてますし、各種癌も血栓傾向を誘導します。(トルソー症候群)
突然死と言えば、救急的な事故の他、心臓、大血管や脳神経がらみの疾患ばかりが目に浮かぶのが実際ですが、手足や他の臓器に原因や兆候が見られることも少なくありません。
入口はどちらでも問題がないので、節目の年では大きな検査をまとめて済ますせられるように、社会制度が整えばいいと思います。

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