メディカルトリビューン
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新型コロナの重症化しやすい血液型が判明
血液型がA型およびAB型の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者は、重症化しやすいとの研究結果がBlood Adv( 2020;4:4981-4989 )に掲載された。報告したカナダ・University of British ColumbiaのRyan L.Hoiland氏らによると、O型およびB型のCOVID-19患者に比べA型およびAB型の患者では、機械的人工換気および持続的腎代替療法(CRRT)を要する割合がいずれも有意に高かったという。(関連記事「コロナ感染は血液型で決まる!?」)
主要評価項目は機械的人工換気を要する割合
ABO血液型と新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する感染感受性との関連性が報告されている。
今回、Hoiland氏らが対象としたのは、今年(2020年)2月21日~4月28日にカナダ・バンクーバー市内6施設の集中治療室(ICU)に入室したCOVID-19患者125例。年齢、性、併存症、COVID-19の症状が初めて確認された日、入院日、ICU入室日、人工呼吸器装着、腎移植、検査値(血液、生化学、凝固系、炎症マーカーなど)のデータを収集した。
主要評価項目は機械的人工換気を要した割合、副次評価項目は入院中に機械的人工換気を要した推定値、三次評価項目としてCRRTを施行した患者の割合、ICU滞在期間、血中の炎症性サイトカイン濃度などの重症臨床指標とした。
全例にリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査を行い、機械的人工換気の施行は担当医が酸素濃度94%以上、酸素流量6L/分以上への維持が必要と判断したケースとし、CRRTの適応は慢性代謝性酸血症、高カリウム血症、尿毒症性脳症などを伴う急性腎障害とした。
125例のうちABO式血液型データを有したのは95例。COVID-19患者の大半は無症状で入院データは有症状患者に限られるため、血液型と感染感受性を評価する上では一般集団との比較が重要になる。そこで2019年5月1日~20年4月30日の全国(39万8,671例)および地方(6万2,246例)のデータを対照に血液型分布を比較したが、COVID-19患者と対照群で血液型分布に有意差は見られなかった。
ICU滞在期間はA/AB型群で延長傾向も、退出率に有意差なし
解析の結果、機械的人工換気を要した割合はO/B型群の61%(57例中35例)に対し、A/AB型群では84%(38例中32例、P=0.02)とリスクが有意に高かった〔調整後ハザード比(aHR)1.76、95%CI 1.17~2.65、P=0.007〕。さらにCRRT施行率についてもO/B型群に比べ、A/AB型群で有意に高かった(9%vs.32%、P=0.01、aHR 3.75、95%CI 1.28~10.9、P=0.004)。
ICU滞在期間中央値は、O/B型群の9日間(四分位範囲5~18日)に対し、A/AB型群では13.5日間(同7~26日)と長かったものの、退出率に有意差はなかった(75% vs.63%、aHR 0.63、95%CI 0.39~1.03、P=0.06)。
またICU入室時の白血球数、リンパ球数、D-ダイマー値、AST値、ALT値、クレアチニン値などの炎症マーカーの異常は、A/AB型群に比べO/B型群でいずれも有意に少なかった。血中の炎症性サイトカイン濃度を測定できた25例についてサブ解析を行ったところ、A/AB型群(11例)とO/B型群(14例)で、インターロイキン(IL)‐6(P=0.10)、IL-10(P=0.66)、IL-1β(P=0.13)、腫瘍壊死因子(TNF)α(P=0.30)のいずれも有意差はなかった。
A型またはAB型のCOVID-19患者ではICU関連リスクは明らかに高い
以上を踏まえ、Hoiland氏らは「A型またはAB型のCOVID-19患者ではO型またはB型の患者に比べ、機械的人工換気およびCRRTの施行率、ICUの長期滞在を要するリスクが明らかに高い」と結論している。その上で「今後はCOVID-19患者の血液型によって、肺および腎以外の臓器への影響についても明らかにしたい」としている。(田上玲子)
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