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介護・シニア

新型コロナで、在宅の看取りが大幅に増加……医療との付き合い方が変わる

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写真 幡野広志

写真 幡野広志

 朝、都内の子供の救急搬送件数が半分くらいに減っているというニュースをラジオで耳にしました。子供が熱を出したのだけど、病院を受診することで新型コロナウイルスに感染するのが心配、だから自宅で様子を見ることにした、という母親へのインタビューも紹介されていました。これまではささいなことで受診する患者が多すぎる、救急車をタクシー代わりに使うなんてけしからん、と怒っていた小児救急の専門医たちも、ここまで受診が減るとさすがに心配だ、とコメントしていました。

 しかし、救急搬送を自粛したことで、子供の死亡率が上がった、という話は聞きません。子供の親たちは、「本当に病院を受診しなければいけない時」には、きちんと受診させている、ということなのでしょう。

通院自体が感染リスク……90日の長期処方で対応する

 新型コロナの感染拡大で、私たちの社会はいま大きく変化しつつあります。3密を避ける、マスクを着用するなど、新しい生活様式に加えて、医療や介護のあり方も大きな影響を受けています。特に、病院との付き合い方が大きく変わったという人は少なくないのではないでしょうか。

 これまで2週間に1度ずつ、主に薬をもらうために通院していた生活習慣病の患者さんたちは、60日分や90日分の長期処方でも十分に健康管理ができることに気づいたはずです。ちょっとした風邪や下痢などで病院にかかっていた高齢者にも、通院そのものが感染リスクを伴う行為であるという認識の広がりもあり、自宅で様子をみる、あるいは薬局で薬を買って自分で治療する、という人が確実に増えました。このような影響もあって、緊急事態宣言が解除されてからも、外来患者数が以前のレベルまで戻らないという医療機関は、特に内科・小児科・耳鼻科などでは少なくありません。

病院通いをやめて、在宅医療に移行する患者が増えた

 入院においても、大きな変化がありました。第1波といわれる最初の新型コロナウイルスの感染拡大では、大学病院など地域の中核となってきた高度医療機関やブランド病院でも院内感染が相次ぎました。病院は感染リスクを減らすために、入院時に新型コロナの検査を課し、家族の面会を禁止・制限するようになりました。

 これにより、在宅医療と病院との関係性にも変化が生まれつつあります。車いすやヘルパーさんの支援などで、これまでなんとか病院への通院を継続していた患者さんたちの在宅医療への転入が増えました。大きな病院に通院していることの安心感よりも、病院に受診しなければいけないことの不安、公共交通機関を使った通院そのものへのリスク意識の高まりなどから、ケアマネジャー経由の紹介が増えました。

「自宅に戻りたい」という終末期の患者が増えた

 また、病院から紹介される患者さんも増えています。これまでなら最期まで病院で過ごすことの多かった予後の見通しの厳しい(余命が日から週の単位と見込まれる)入院患者さんが、どうしても自宅に帰りたいと強く希望するようになっているのです。病院で一人で死にたくない、最後に家族と一緒に過ごせる時間を作りたいというニーズが、退院・在宅医療導入の大きな後押しとなっています。

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佐々木淳(ささき・じゅん)

 医療法人社団悠翔会理事長・診療部長。1973年生まれ。筑波大医学専門学群卒。三井記念病院内科、消化器内科で勤務。井口病院(東京・足立区)副院長、金町中央病院(同・葛飾区)透析センター長を経て2006年MRCビルクリニック(在宅療養支援診療所)設立。2008年、団体名を悠翔会に改称。首都圏12か所で在宅療養支援診療所を運営する。

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