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田村専門委員の「まるごと医療」

医療・健康・介護のコラム

コロナ下での医療崩壊を防ぐための6つの提言 専門家有志による研究会

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医療資源の地域偏在、格差をどう解消

 6.「リスクを踏まえた合理的な行動抑制を進め、偏見・社会的非難を解消」……感染拡大防止の必要が生じた場合には、緊急事態宣言前の3月下旬の自粛水準で対応。感染リスクの特に高い業種は地域を限って法的措置も。感染防止ガイドラインを見直し、順守状況をチェック。過剰自粛を回避するための具体的指針も。感染発生の個別発表は原則なくし、不特定多数のクラスターに限定。大学などの教育活動の過度な自粛はしない。接触確認アプリの利用度・実効性を高める。個人情報保護の徹底を前提に、感染経路調査への協力を確保する法制度検討を。

 提言された内容の中には、診療所の活用などをはじめ、すでに国の方針に盛り込まれたものもある。課題はいかに具体的な運用に結びつけられるかだ。また、財政支援の規模や規制の範囲をどのように考えるかなど、議論のあるものもあるだろう。

 提言の最初に掲げられた医療機関の集約化、役割分担や連携体制は、新型コロナウイルス感染症への対応に限った話ではなく、地域医療において基本的な課題だ。地域の実情に応じて、知事のリーダーシップの下でスピード感をもって推進することは重要だ。

 ただ、医師が都市部に集中して地方に少ない地域偏在問題に象徴されるような、医療資源の地域格差がある現状においては、さらに格差の拡大を招く懸念もある。記者会見での質問に対し、「医療資源の地域偏在の解消は重要な問題であり、中長期的な課題として総合診療専門医の積極的な育成を検討していく必要がある」などとされた。

5疾病、5事業に感染症対策も加えて

 コロナ下、コロナ後の医療のあり方については、様々な立場から意見が出されている。全国自治体病院協議会(小熊豊会長)は、今回の新型コロナ対応に自治体や公的病院が果たした役割も踏まえ、地域における病床機能の配分そのものに、新型感染症対策を加えるべきだとの考えを示した。

 地域の医療計画の基本とされている5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞(こうそく)、糖尿病、精神疾患)、5事業(救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療、小児救急医療を含む小児医療)に、新型感染症対策を加えるというものだ。再編や統合の検討対象となっている公立・公的病院のあり方を考えるうえでも、考慮すべき課題だ。

 新型コロナウイルス感染症の流行は、感染爆発が起きているヨーロッパなどの状況を見ても、先行きは不透明だ。走りながら考える、迅速な議論と対応が求められる。(田村良彦 読売新聞専門委員)

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田村 良彦(たむら・よしひこ)

 読売新聞東京本社メディア局専門委員。1986年早稲田大学政治経済学部卒、同年読売新聞東京本社入社。97年から編集局医療情報室(現・医療部)で連載「医療ルネサンス」「病院の実力」などを担当。西部本社社会部次長兼編集委員、東京本社編集委員(医療部)などを経て2019年6月から現職。

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1件 のコメント

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広い日本をカバーするには「接ぎ木」が必要

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

宮崎医大地域枠の大幅な引き上げが報道されましたが、博多、大阪、関東の幾つかの都市以外は人口減少フェーズに入っている中で、単純に総合診療専門医と地...

宮崎医大地域枠の大幅な引き上げが報道されましたが、博多、大阪、関東の幾つかの都市以外は人口減少フェーズに入っている中で、単純に総合診療専門医と地域枠に答えを求めて続けて良いのかどうなのでしょう?

10年前後の拘束時間を勘案して、地域枠や自治医大の卒業生はキャリア全体を考えますし、全体で同じ仕事をシェアする非地域枠医師もその影響を受けます。
中間キャリアである専門医資格を超えれば、その次のキャリアの自由度も上がりますし、今後不人気な専門科ではそれらの人々に便宜を図ると思います。

臨床医療は政治の従属物の側面もありますが、キャリアの出口政策や育児出産も含めてより優秀な人材の集まる制度への改編していかないと離脱者が増えてしまうと思います。

いまどきの若者に地域都市耐性や超長時間労働耐性は計算が立たず、学力のある子供も関東近郊に増えてますから、優秀な医療労働者人口確保には、遠隔拠点の設立など地方都市の一部機能を関東や関西に引っ越す方が楽だと思います。

これも机上の空論ですが、実行フェーズ上の諸々を織り込んで、知事や役人から指示を出していただければ、地域医療の再生も早まると思います。
新型コロナをきっかけにでも動き出すといいですよね。
地方と都心、若者と老人、モノの考えや行動原理の存在比率の違う生命を併存させるには接ぎ木するシステムをデザインし、流布する作業が不可欠だと思います。

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