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椎間板内酵素注入療法…注射でヘルニア縮小

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 腰や脚の痛みを引き起こす椎間板ヘルニアは、背骨の間でクッションの役割をする椎間板の組織が飛び出すことで発症します。手術を行うこともありますが、最近は、椎間板に薬剤を注入し、この部分を縮小させる治療が普及してきています。(高橋圭史)

椎間板内酵素注入療法…注射でヘルニア縮小

  神経の圧迫軽減

 椎間板の組織が壊れ、飛び出た部分をヘルニアと呼びます。ヘルニアが背骨の中を通る神経を圧迫し、腰や脚の痛みや、しびれの原因となることがあります。患者の中心は、20~40歳代です。

 治療の基本は安静にして様子を見たり、痛みや炎症を抑える薬やコルセットなどの装具を用いたりする保存療法です。ヘルニアは自然に縮小したり、症状が治まったりするケースも多くあります。

 保存療法で改善しなかったり、脚にまひが出たりする重症の場合は、手術を検討します。5日から1週間程度の入院が必要になります。

 2018年には、椎間板に薬剤を注入する「椎間板内酵素注入療法」という新しい治療法が保険適用になりました。椎間板内の組織に含まれる保水成分の分解を促す酵素を注射器で入れます。椎間板の膨らみを縮小させ、神経への圧迫を取り除くことを狙ったもので、日帰りか1泊の入院で済みます。

 日本整形外科学会理事長で、慶応大学病院整形外科教授の松本守雄さんは、「保存療法と手術の中間に当たる治療で、手術に比べて患者の負担を少なくできます」と説明します。

  7~8割に効果

 酵素注入療法は、エックス線検査装置の台の上で、針を刺す位置を確認しながら行います。治療当日は入浴を控え、治療後1週間は腰に負担をかけないよう注意します。

 松本さんは「これまでの研究報告では、治療した患者の約7~8割に症状の改善が見られています。ただし、効果が出るまで数週間程度要するケースもあります」と解説します。

 東京都内の女性会社員(31)は椎間板ヘルニアと診断され、今年2月に同病院で酵素注入療法を受けました。「治療を受けて3週間後、痛みが足先の方から徐々に弱まっていくのを感じました。お尻の痛みが消えるまでには2か月ほどかかりましたが、週末に1泊入院しただけで、仕事を休まずに治療が済んでよかったです」と話しています。

 治療の副作用として、一時的に腰や脚の痛みなどの症状が出ることがあります。また、まれに短時間で全身にアレルギー症状が出るアナフィラキシーショックが起こることもあります。治療後は数時間、体調の変化に注意することが必要です。

 この治療は、2度受けることができません。2度目にアレルギーが出るリスクが高くなるためです。また、〈1〉もともとアレルギー体質がある〈2〉他に背骨の病気を抱えている〈3〉妊娠している――場合は、主治医とよく相談しましょう。

 酵素注入療法を行えるのは、日本脊椎脊髄病学会や日本脊髄外科学会の指導医などに限られています。松本さんは「この治療に適している患者かどうかをしっかり見極め、安全に実施する必要があるためです」と説明しています。

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