声優 森川智之さん
一病息災
[声優 森川智之さん]ぜんそく(4)声優仲間に病気明かす
ぜんそくと診断されたことを、仕事関係者にはしばらく明かさなかった。声優の世界で仕事を勝ち取るためには、原則オーディションを受けなくてはならない。現在は専属となっているトム・クルーズの声の吹き替えも、最初はオーディションだった。
「病気が分かった後も、負けたくない、自分の弱みを見せたくない、という気持ちが強くありました。しかし、それがだんだん、悪い方、悪い方に行ってしまいました」
ある時、発作が治まらない中で、収録があった。繊細な演技が必要な場面で、マイクが拾った荒い呼吸音が、スタジオの大きなスピーカーから漏れてきた。
「これはもう、隠しておくことはできないなと思いました」
ぜんそくであることを明かすと、実は、ぜんそくを持ちながら仕事をしている声優がほかにもいることが分かり、話をすることができた。ぜんそくに限らず、いろんな病気を抱えながら仕事をしている声優が、たくさんいることも知った。
「病気と闘っているのは、自分だけじゃないんだと分かりました」
声がれの副作用の懸念があり、薬による病状のコントロールは試行錯誤という。吸入薬はいつも持ち歩いている。症状を悪化させないようにと、体調管理を心がけている。
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声優 森川智之 さん(53)
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