夫と腎臓とわたし~夫婦間腎移植を選んだ二人の物語 もろずみ・はるか
医療・健康・介護のコラム
移植患者やドナーの保障…病気でも入れる保険・共済 闘病に情報も必要だ!
「もろずみさんは申請しましたか? 不妊治療だけでなく、不妊検査をされた方にも助成金が出るんですよ」
数日前、婦人科の医師と今話題の不妊治療の保険適用について話していたところ、そんな話になったのだ。驚いたのは、助成される金額。「上限5万円」とは高額だ!
医師が教えてくれた助成金とは、東京都が行っている「不妊検査等助成事業」のこと。子を望む夫婦が不妊検査や薬物療法、人工授精などを受けると、費用の一部が助成される。以前からこの制度の存在は知っていたが、昨年の4月1日から対象年齢が、「35歳未満」から「40歳未満」に引き上げられたことは知らなかった。ギリギリ私も対象になるのだ。
ひやっとしたのは、申請期限まで1か月を切っていたことだ。初回の検査から1年以内と決められており、私のデッドラインは10月末だった。当然ながら、申請期限を1日でも過ぎると、1円たりとももらえない。国や地方自治体の医療費助成制度は、当事者が知らぬ間に変更されることもあるので、日頃からアンテナを張っておかなきゃと反省した私だった(あとから知ったのだが、新型コロナの関係で、申請期限は1年以内から2年以内に延びたそうだ)。
とはいえ、この「アンテナの張り方」が難しい。「ググればいいじゃん」と思うかも知れないが、医療費に関わる情報は素人目に複雑で、どの情報が自分に該当するのかわかりにくい。
「自分は対象外」と諦めないで
民間の保険でも、同じことが言えるように思う。保険会社がたくさんある上に、プランも複雑。次々と新商品が出るので、自分に何がマッチするのか、いまいちわからない。
「実は、ここ10年で保険は変わったんですよ。持病を抱える方でも加入できる保険が増えました」と話すのは生命保険コンサルタントの古川満さん。
古川さんとは仕事で知り合い、私が腎臓病患者であることをお伝えしたところ、最新の保険情報を教えてくれたのだった。
そもそも私は、保険に加入していない。入れなかったのだ。
1993年から「IgA腎症」を患う私を受け入れてくれる保険会社はなく、「病気になった後でも、入れる保険があればいいのに」と、保険会社に勤める友人にぼやいたことがある。
「それができたら保険会社はつぶれちゃうよ。うちらも営利企業なんだからね」
友人にそう諭され、「そりゃそうだ」とうなずいてはみたものの、「保険って、健康でお金に余裕がある勝ち組のものだよ」という印象が拭えなかった。
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