森本昌宏「痛みの医学事典」
医療・健康・介護のコラム
「お店で注文するにも緊張して…」と悩む49歳女性 不安を伴う原因不明の痛みに「サフラン」の効果
イライラしたらパエリアを!?
最近の研究により、血液を固まりにくくして血管を拡張させることから、心筋 梗塞 の再発防止、心房細動、脳梗塞などの予防に効果があると考えられている。また、その成分であるクロシンは、“発がんプロモーター”(発がんを促すたばこ、性ホルモンなど)を抑えるとされ、飲酒時の記憶障害の予防、脳の神経伝達物質の効率向上への効果も確認されている。その他にも、糖尿病、高血圧症、慢性 扁桃 炎、前立腺肥大症に対する効果が報告されている。ただし、非常に強い子宮収縮作用を有するので、妊娠中の方は用いるべきではない。
私の施設においても、さまざまな痛みに加えて、イライラ、不安、不眠などを訴えられる患者さんに対して、このサフランを処方する機会が増えている(健康保険が適用される)。他の漢方薬に、1日量として0.3~1グラムを追加する。つまり、漢方薬の補剤として、である。急須に入れて、100~150ミリ・リットルの熱湯を注いで飲んでもよい。実のところ、私も、宴会の前などには(最近、とみに記憶が飛ぶことが多くなったので)服用するようにしている。
さて、子供さんを叱るのに疲れてイライラがたまっているお母さん方、今晩はサフランをたっぷり使ったパエリアもしくはブイヤベースを用意されてはいかがだろうか。エンリケ・グラナドスの『スペイン舞曲』でも聴きながら、ね。(森本昌宏 麻酔科医)
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