街で障害のある人と出会ったら~共生社会のマナー
医療・健康・介護のコラム
「ソーシャルディスタンス」のために介助を断られ…視覚障害者の買い物にお店の配慮を
ヨミドクターをご覧のみなさま、サービス介助士アドバイザーの平野恵です。今回は、視覚障害者の買い物方法についてです。
商品名を順番に読み上げてもらい

みなさんもよく利用するスーパーマーケットなどを例に、私が普段、どのように買い物をしているのかご紹介します。
まず入店したら、店員さんに「商品選び」を依頼します。私から店員さんに欲しいものをお伝えし、そのあと、その商品の陳列棚まで案内していただき、商品名を順番に読み上げてもらいます。例えば、パスタを購入したい場合、まず、「パスタを選びたいです」とお伝えします。そして、陳列棚の前で、店員さんに「ナポリタン、カルボナーラ、ペペロンチーノがあります」などと読み上げてもらい、その中から気に入ったものを購入します。
商品名のみではどういったものか想像ができない場合には、入っている具材や味付けについて聞くこともあります。そのほか、値段やその商品が新発売か、期間限定品か、といった情報も伝えていただけると、より買い物を楽しむことができます。同じナポリタンでも、最近は種類が豊富なのです!
次に支払いについて。ここでも、いくつか教えていただくことがあります。近年、キャッシュレス決済が浸透し、交通系電子マネー、クレジットカード決済など、さまざまな支払い方法があります。これらに関する情報は、ポスターやポップの掲示など視覚情報のみのことがほとんどで、私は情報を得ることができないため、店員さんに読み上げてもらいます。クーポンについては、最近はメール配信で取得できるものも増えてきましたが、まだ紙で発行されることが多く、その内容、利用可能期間などについても読んでもらいます。
感染対策をしたうえで案内を
私は、これまで、こうした方法で買い物ができていました。ところが現在は、新型コロナウイルスの影響で、買い物がしづらくなっています。
先日、いつものように商品選びを店員さんに依頼したところ、感染予防のため、断られてしまいました。商品選びでは密接に関わる時間が長くなりますし、歩行時に肩や肘につかまらせてもらうため、感染リスクがあることは確かです。しかし、お店でソーシャルディスタンスを取られてしまうと、私は、生活必需品さえも入手することができなくなってしまいます。
私たち視覚障害者も、感染リスクがあることは十分に理解していますので、外出時にはマスクを着用する、消毒液を持ち歩いてこまめに手指の消毒をするなど、案内していただく方に少しでも安心していただけるよう対策を取っています。お店や街中で困っている視覚障害者を見かけた際には、感染対策をしたうえで、従来と同様に案内をしていただくよう、お願いします。
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