子どもの健康を考える「子なび」
医療・健康・介護のコラム
皮膚のトラブル(2)「赤いあせも」は薬で治療
皮膚のトラブルでは、大阪医科大の森脇真一教授(58)に聞きます。(聞き手・東礼奈)
汗をかくことは、体温調節に欠かせない大切な皮膚の機能です。しかし、猛暑で首や背中、おなかまわりなどで大量の発汗が続けば、皮膚の中で汗の管が詰まって汗がうっ滞し、あせもができます。今夏も私の皮膚科外来には汗による皮膚トラブルを抱えた多くの子が受診しました。
あせもは白いあせも(水晶様 汗疹 )と、かゆくて赤いあせも( 紅色 汗疹)に分類されます。白いあせもはエアコンの使用、ぬるめのお湯での入浴、シャワーなどの汗対策で治りますが、赤いあせもにはステロイド薬を塗り、時には、かゆみ止めの抗ヒスタミン薬も飲みます。
かいた汗が長時間皮膚に残れば、皮膚の炎症(「汗かぶれ」と呼ばれる湿疹)が首、肘、膝に生じます。ステロイド薬を塗って治療しますが、汗をすぐに拭き取ることで予防できます。
季節に無関係な汗関連の皮膚病もあります。先日、小学6年の女児が来院しました。左右の手のひら、足裏の汗の量がかなり多く、特に手の多汗は授業中に学校のプリントがぬれるほどだそうです。顔や体の発汗には異常がないようなので、「 掌蹠 多汗症」と診断しました。
この疾患は10代の子どもによく起きます。少しずつ軽快することもありますが、日常生活に支障があれば治療します。まずは制汗作用のある塩化アルミニウム液を塗り、効果がなければ、手に電流を流して発汗機能を低下させる「イオントフォレーシス」を行います。それでも症状がひどい場合は、 腹腔 鏡を使って発汗に関係する交感神経を遮断する手術を検討します。
汗による皮膚トラブルがあれば、皮膚科を受診してみてください。
【略歴】
森脇真一(もりわき・しんいち)
皮膚科専門医。大阪医科大卒。京都大、浜松医科大などを経て2009年から現職。医学博士。
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