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田村専門委員の「まるごと医療」

医療・健康・介護のコラム

がん医療の評価は10点満点で7.9点 患者の体験全国調査

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総合点は低くないが…

(国立がん研究センターの説明資料より引用)

(国立がん研究センターの説明資料より引用)

 「今回のがんの診断・治療全般について総合的に0―10で評価すると何点ですか? 0点が考えられる最低の医療、10点が考えられる最高の医療とします」として、0から10までのどれかの数字に○をつける設問では、平均7.9点という結果だった。

 また、「納得のいく医療選択ができた」(79.0%)、「専門的な医療を受けられたと思う」(78.7%)、「これまで受けた治療に納得している」(77.3%)と8割近くが肯定的な答えだった。解析結果として「総合点は低くないが、その一方で課題も一定程度存在することが明らかになりました」としている。

医療者は説明をしたつもりでも……

(国立がん研究センターの説明資料より引用)

(国立がん研究センターの説明資料より引用)

 治療法の選択にあたって別の医師の意見を聞く「セカンドオピニオン」について、治療前に担当医師から話があった人は34.9%で、実際にセカンドオピニオンを受けた人は19.5%だった。40歳未満の男女で、治療開始前に妊孕(にんよう)性への影響に関して医師から説明があった人は52.0%、実際に温存の処置を行った人は8.9%だった。

 また、診断時に収入のある仕事をしていた人に対して、治療開始前に就労の継続について医療スタッフから話があった人は39.5%だった。

 公表にあたって記者会見した国立がん研究センターがん対策情報センター長の若尾文彦さんは、医療者が患者に情報をしっかりと伝えることが重要だとしたうえで、「回答は患者がどう受け止めたかということであり、医療者は言っていてもそれが患者に伝わっていないケースも含まれている」などとして、医師と患者のコミュニケーションのあり方の課題を指摘した。

AYA世代 経済的負担で治療の変更や断念多く

 今回の調査では、一般のがん患者と、希少がん患者、AYA世代のがん患者でのグループ比較も行われた。

 分析によると、特にAYA世代の患者は「経済的な負担により治療を変更または断念した割合」が11.1%と、一般のがん患者(4.8%)に比べ倍以上高かった。また、医療スタッフと十分な対話ができたかや、身体的なつらさを相談できたかなどについて、他のグループに比べ低い結果が示された。AYA世代のがん患者では、女性が8割を占めることも解釈において考慮すべき点である、としている。

 冒頭に挙げた、受けた医療についての総合的な評価を10点満点で尋ねた設問は、具体的な行為が行われたかどうかを尋ねた設問と異なり、回答する側にとって、評価に治療結果のよしあしも含める可能性もありそうだ。この設問を今回新たに加えた意味について、同センターがん臨床情報部長の東尚弘(ひがし・たかひろ)さんは、「治療の結果や今どの治療段階にあるのかもかかわってくると考えられるが、10点満点という統一された形で聞いて質問を安定させたうえで、この質問にはどういう性質があるのか解析を深めていく、その第一歩だと考えている」などと説明した。

 今回実施された調査結果は、今後の対策による変化を評価するための基礎になっていくものと言える。若尾さんは「同じ質問を繰り返して、継続的にモニタリングしていくことが必要」などとして、継続した評価体制を維持していくことの重要性を強調した。(田村良彦 読売新聞専門委員)

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田村 良彦(たむら・よしひこ)

 読売新聞東京本社メディア局専門委員。1986年早稲田大学政治経済学部卒、同年読売新聞東京本社入社。97年から編集局医療情報室(現・医療部)で連載「医療ルネサンス」「病院の実力」などを担当。西部本社社会部次長兼編集委員、東京本社編集委員(医療部)などを経て2019年6月から現職。

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