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医療・健康・介護のコラム

[女優 久保田磨希さん](上)「自分ではないだれかになりたい」との思いから女優の道へ

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「普通すぎる性格」だから、いろいろな役に

――女性に対しては失礼な言い方かもしれないけれど、「大柄で、年齢より上に見られる」という特徴が、現在では女優さんとしての存在感につながっているのでは? もっと 華奢(きゃしゃ) な女性だったら、芸能界で今のような存在になっていなかったかもしれません。

 その通りだと思います。とはいえ、少し摂生はしようと思っています。もう「きれいになりたい」「細くなりたい」などは思いませんが、体重が膝に来て、舞台に立てなくなったら困りますし、太っていれば生活習慣病などにかかりやすくなりますよね。今のところは人間ドックでも問題は出ていませんが。

 家族のためにも健康でいなければいけないと思いますし、女優としても精神的に安定していないと、役になり切れないと思うんです。「元気」「天真 爛漫(らんまん) 」「暗い」「ちょっと病んでいる」などのキャラクターは、自分がフラットな状態だからなり切れるのだと思います。

[女優 久保田磨希さん](上)「自分ではないだれかになりたい」との思いから女優の道へ

――お話ししていると、とても生真面目で 几帳面(きちょうめん) な印象を受けます。

 以前は、突拍子もないことを言うような「天然キャラ」にあこがれた時期もあったのですが、私自身はものすごく「普通」な性格でした(笑)。今は、どんなキャラクターを演じることになっても、自分の内面の普通さを起点にして、距離を測りながら役に近づいていけると思います。だから、普通でいることへのコンプレックスはなくなりました。

――ドラマ、舞台、映画、ミュージカル、時にはバラエティーでも顔をお見掛けします。一番、自分が自分らしいと思うのは、どのフィールドなのですか?

 全部やりたいんです。もともと、テレビの中のキラキラした世界にあこがれていたので、バラエティーに出られることもすごくうれしいです。もちろん、舞台も映画も、それぞれ大好きですが、やっぱり原点となるとテレビ、かな……。田舎育ちなので、舞台や映画よりも、いつでも見られるテレビを身近に感じるのかもしれません。

――直近の仕事はテレビではなく、10月から11月にかけての舞台「エレファント・マン」(東京・世田谷パブリックシアター)への出演ですね。生まれつきの病気で外見が変形している青年が、世間の好奇な目にさらされながら、自分の知性や魅力を開眼させていくストーリーで、40年前には映画でも世界的な大ヒットになった作品です。

 はい。実話がベースなので、ファンタジーや架空のものとは違った覚悟、責任感が伴います。ヘビーな境遇で育った主人公ですが、決して「かわいそう」なだけには描かれていません。知性があって、すごく魅力的な主人公であり、周囲に人がどんどん引き寄せられて、集まってくる。

 私自身、そんな「エレファント・マン」の生き方がうらやましいと感じる部分があるんです。もしかしたら、私が主人公のような障害を持って生まれてきたら、「自分は不幸だ」とだけ考えてしまうかもしれない。だけど、生き方次第で、誰でもが輝けることを教えてくれています。私がなりたい自分って、こんな存在なんだろうなと思いました。

女優 久保田磨希さん

くぼた・まき 1973年、京都府生まれ。大阪芸術大学卒。ドラマ「大奥」シリーズ(フジテレビ系)で奥女中の浦尾役を演じ、「美味でございますぅ~」の印象的なセリフ回しで一躍人気に。以降、個性派女優として「花燃ゆ」「最後から二番目の恋」「まんぷく」「赤ひげ」などで活躍する。舞台も「漂流劇 ひょっこりひょうたん島」「ピーターパン」「メリー・ポピンズ」「奇跡の人」などに数多く出演。近作の「 エレファント・マン THE ELEPHANT MAN 」(10月27日~11月23日、東京・世田谷パブリックシアター)では、ナースのミス・サンドイッチなど3役を演じる。10月23日開始のBS時代劇「赤ひげ3」(NHK-BSプレミアム)にも出演。

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