一病息災
闘病記
[声優 森川智之さん]ぜんそく(2)幼い弟が闘病「怖い病気」
5歳下の弟が重いぜんそくだった。子どもの頃、夜中にたびたび呼吸困難の発作を起こし、救急車で病院に運ばれた。ヒューヒュー、ゼーゼーと苦しそうな息をしているのを、親に伝えることもよくあった。
「弟のぜんそくに、家族中で闘っていました」
弟の入院中、多くの重症の子どもたちの姿も目にした。「ぜんそくは怖い病気」という印象が強くすり込まれた。
自分自身は、へんとうを腫らして、よく風邪を引く子どもだったという覚えはある。しかし、次第にスポーツに目覚め、健康な体になっていった。
物心がついた頃、親から「あなたも小さい頃は、弟と同じ病気だったのよ」と、教えられた。症状は軽く自然に治ったようで、ほとんど記憶にない。
中学校で軟式テニス部、高校ではアメリカンフットボール部に入った。
ところが、アメフトで 頸椎 損傷の大けがを負い、大学に進学して体育教師になる夢を諦めざるを得なくなった。その時、友人のアドバイスもあって、進んだのが声優の道だ。
「自分に降りかかった運命を受け止めて、前向きに歩むことが大事だと、その時に学びました」
ショックを受けた40歳でのぜんそくの診断にも、前向きな気持ちで付き合っていこうと決意した。
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声優 森川智之 さん(53)