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医療・健康・介護のコラム

精液検査の結果に「雑魚ばっかりですね」と医師 不妊治療も「仁術」であってほしい

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「検査しなくても大丈夫」という医師の言葉に安心していたが…

不妊治療で6回転院のケースも! 施設の情報開示を 保険適用に期待高まる

 NPO法人Fineが実施した「 病院選びのポイントアンケート2020 」 では病院選びに苦慮する患者から、数多くのコメントが寄せられています。中でもQ10の「これまでに、医師はじめスタッフの対応で『嫌だなぁ』『困った』『悲しい』ということがあれば、差し支えのない範囲で具体的にお教えください」という問いには、赤裸々なコメントが寄せられています。できれば、こうした声をすべて届けたいところですが、今回はその中からいくつかご紹介します。

 「流産をきっかけに、夫婦染色体検査を受けた方が良いと個人クリニックの先生に勧められ、大学病院へ。病院の先生からは『今までにうちの病院で染色体異常があった夫婦はいなかったから、わざわざ検査受けなくても大丈夫ですよ』と言われましたが、検査を受けて異常なしと判定されたらより安心できると思い、受けました。その結果、私たち夫婦に染色体異常があることが判明。10万人に1人の確率だそうで、結果にもショックでしたが、先生からの『検査しなくても大丈夫』という言葉にすっかり安心しきっていたので、余計にショックでした。医者の言葉ひとつで患者の心がどれほど揺さぶられるか、人生を左右されるか、もっとしっかりと考えてみてほしいです」

 「検査について、『ネットに詳しい世代だから説明しなくても知ってるでしょ』と医師に言われた」

 「夫の精液検査の結果を見ながら、『端的にいうと雑魚ばっかりですね』と医師から言われた。それ以来、できるだけその先生の日には予約を取らないようになりました。ひどいと思いました。」

 「待合室のすぐ横にカウンセリングルームがあるが、そこの扉が半開きで中絶相談に来ている女性とカウンセラーの会話が丸聞こえだった。相談女性のプライバシーや不妊治療に来ている患者のためにも、ちゃんと扉を閉めて会話が聞こえないように配慮して欲しかった」

 「忙しいのか、内診が終わってまだ着替えが完了していないのに説明をしだす医師がいて、話しは聞き取りづらくて困ったし嫌だった。大学病院では毎回医師が違うので、同じことを何度も説明しなければならないことが多々あった。」

施設が多いゆえに、質のバラツキも大きく

 前出のとおり、日本で体外受精が受けられる施設は600ほどあり、人工授精やタイミング法などを含めると、もっと多くの施設で受けられるようになっています。これは世界的に見ても非常に多い数であり、そういう意味では日本は恵まれているといえるのかもしれません。

 しかし、多いがゆえに、質のバラツキはかねてより課題視されているところです。医療施設の「質」とは一体何なのでしょう。それは妊娠率、出産率の「治療成績」だけなのでしょうか。そうではないことが、このアンケートからも読み取れます。私が尊敬する医師のおひとりが、よく「医は仁術なり」とおっしゃっていますが、その通りで、数字には表れないものの、伝わってくるものは確かにあるということなのでしょう。

 不妊クリニックの質の向上のために行われている審査システムとして、「 JISART認定審査 」 もあります。patient-centered care(患者中心の医療)の実現に向けて、こうした取り組みもぜひとも参考にしていただきたいと思います。(松本亜樹子 NPO法人Fine=ファイン=理事長)

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松本亜樹子(まつもと あきこ)

NPO法人Fine理事長/国際コーチ連盟認定プロフェッショナルサーティファイドコーチ

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

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