「逆さまつげ」抜くしかない?
左目の下の逆さまつげを病院で抜いたのですが、2週間もたつと、生えてきて痛くなります。下まぶたは目の中に巻き込んだ状態。上のまつげも下を向いています。抜く以外の方法はないですか。(77歳女性)
毛根焼灼や手術も
山田 昌和 杏林大学眼科教授(東京都三鷹市)
まつげは上下のまぶたの縁から並んで生えていますが、全体または一部が内向きになった状態が、俗に言う「逆さまつげ」です。乳幼児にみられる先天性の 睫毛 内反症、まぶたの炎症や外傷でまつげの一部が内向きに生える睫毛乱生症、まぶた全体が内向きになった 眼瞼 内反症などがあります。
まつげが角膜や結膜(黒目と白目)に接触すると表面がこすれて擦り傷ができ、異物感や痛み、涙があふれる、まぶしく感じるなどの症状が出てきます。角膜の細菌感染、角膜炎の原因になることもあります。目の表面は神経が発達し敏感ですから、つらいものです。
相談者は、眼瞼内反症と思われます。まぶたを支える筋肉や 靱帯 が緩み、まぶたの表側と裏側のバランスが崩れた状態です。加齢が主な原因で、下まぶたに起きやすいのも特徴です。まぶたを指で下に引っ張るとまつげが見えるようになりますが、強く目をつぶるとまぶたが内向きになり、まつげが入ってしまいます。
程度が軽いうちは、まつげを定期的に抜きながら人工涙液やヒアルロン酸の点眼で眼球を保護して様子をみます。眼球に接触するまつげの数が少ない場合には電気分解法などで毛根を 焼灼 する方法もあります。まぶた全体がめくれ込んだ眼瞼内反症の場合、手術が検討されます。様々な治療法がありますが、ほとんどが局所麻酔で20~30分ですみます。主治医に相談してみてください。