山中龍宏「子どもを守る」
医療・健康・介護のコラム
姉と遊んでいた小4がアーモンドを詰まらせ死亡…水分で膨張 乾いた豆類は危ない
日本小児呼吸器学会の気道異物事故予防ワーキンググループの調査(2014年1月~15年5月、702施設)では、112例の報告があり、2歳以下が72%を占め、異物としては、食物が71例、非食物が39例と報告されています。食物では、ピーナツが25例、枝豆が8例、アーモンド・ナッツ7例、節分の豆が6例で、食べ物の2/3は豆で占められていました。
脳死状態になり、3か月後に死亡
事例1:ピーナツ
1歳6か月の男児。午後2時20分頃、自動車の後部座席に座ってピーナツを食べていた。車が急停車したため、ドアに頭をぶつけた。その痛みで泣き出し、泣き切ったあと、大きく息を吸い込んだ時に、口の中のピーナツ片が気管支に入り込んだ。むせて苦しがり始め、背中をたたいても軽快せず、10分後から 咳 が出てゼイゼイし、肩で息をするようになった。入院し、手術室で1個の3分の2のピーナツ片を気管支鏡で取り出した。6日間入院して退院した。事例2:枝豆
1歳児。午後7時半頃、食事中に激しくむせ込んだ。午後11時過ぎ、 喘鳴 がおさまらないため、大学病院の夜間救急を受診して胸部レントゲン写真を撮り、のどが腫れる「クループ症候群」と診断された。以後も、咳や喘鳴が持続し、4日目にぐったりしてきたため、再び大学病院を受診した。胸部レントゲン写真、ファイバースコープによる検査が行われ、最終的にCT検査で気道異物と診断された。専門病院に紹介され、全身麻酔下で気管支鏡を使って枝豆を除去した。入院7日目に退院した。事例3:アーモンド
2012年12月、さいたま市の自宅で、小学4年だった女児が、中学1年の姉とお菓子を食べながらゲームをしていた。女児が1センチほどのアーモンドを口に入れた直後に 咳 き込み、しばらくしてけいれんし始めた。姉が近所に助けを求め、救急車を呼んだ。脳死状態になり、約3か月後に死亡した。アーモンドは水分を含んで膨らんでおり、気管にすっぽりはまっていた。事例4:節分の豆
4歳児。2020年2月3日午前10時頃、松江市の認定こども園で煎り豆を4粒食べ、10時20分ごろ遊戯室に移動し、園児約20人と鬼役も含めた保育士8人で豆まきをしている最中、意識を失って倒れているのを保育士が発見し、119番通報した。病院に搬送されたが、死亡が確認された。大豆が水分を含んで気道をふさいだことによる窒息死だった。事例5:離乳食の豆
10か月児。自宅で夜の離乳食を食べているときに、突然、泣き始め、顔色が真っ青になった。父親が子どもを逆さまにして、背中をたたいたところ、固形物(ジャガイモ、大豆片)を数個吐き出した。救急搬送されたが、問題ないとされ帰宅した。帰宅後に、発熱、多呼吸、陥没呼吸(息を吸い込むとき、胸の一部が陥没する)が表れて顔面蒼白(そうはく)となり、次の日の早朝に入院した。人工呼吸器を装着しようと気管挿管したところ、数回にわたって大豆片(8mm×3mm)が吐き出された。14日間入院した。
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