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医療・健康・介護のコラム

脚の痛み(4)人工股関節手術 血栓に注意

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 このシリーズでは、関節外科が専門で関西労災病院(兵庫県尼崎市)副院長の津田隆之さんに聞きます。(聞き手・長尾尚実)

脚の痛み(4)人工股関節手術 血栓に注意

 変形性股関節症が悪化して手術する場合は現在、傷んだ股関節を人工関節に置き換える方法が主流です。股関節を部分的に切り取って人工関節を入れます。最近は人工関節の性能が向上し、20年ほど使い続けられるものがほとんどになりました。

 日本人工関節学会によると、2018年に人工股関節手術を受けたのは約11万人。既往症がなく健康なら手術の大半はスムーズに行われ、早く回復します。

 ただ、高齢者のなかには高血圧や糖尿病などで血管の老化が進んでいる人が少なくありません。動脈硬化や心臓の異常による不整脈があると、血栓(血液の塊)ができやすいため、脳 梗塞こうそく などを発症する危険性が高まります。また、人工股関節を入れる手術後、脚の静脈に血栓ができるケースもあります。その場合、循環器の医師らとチームを組んで治療を行います。

 70歳代男性の例を見てみましょう。男性は高血圧でしたが、右脚の股関節の痛みがひどく、人工関節を入れる手術を受けました。手術の2日後、脚などに血栓ができている兆候がみられたため、直ちに血液が凝固するのを防ぐ薬を投与しました。様子を見守り、約1か月後に退院しました。

 手術に血栓症などのリスクが伴うことから、患者の家族は「手術を受けなくても」と思うかもしれません。でも、本人は痛みに日々悩まされ、歩けなくなるかもしれないという不安もあることを理解してあげてください。我慢できる程度の痛みなら手術をしない選択肢もあります。医師や家族とよく相談し、これからの生活を考えて一番良い方法を見つけましょう。

津田隆之さん

【略歴】
 津田 隆之(つだ・たかゆき)
 三重県多気町出身。1982年、大阪大医学部卒、90年、同大学院修了。星ヶ丘厚生年金病院(現・JCHO星ヶ丘医療センター)整形外科部長、箕面市立病院医務局次長などを経て、2017年4月から現職。専門は関節外科、骨粗しょう症の疫学。市民向け講演会などで、脚の痛みを起こす病気や治療法、転倒予防について解説している。

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