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Dr.高野の「腫瘍内科医になんでも聞いてみよう」

医療・健康・介護のコラム

私ががんになったのは、食生活が良くなかったせいなのでしょうか?

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がんは一つの原因で説明することは困難

 がんというのは、多くの要因が積み重なって生じるので、一つの原因で説明することは困難です。普通に生活していても、誰もががんになりうるのであって、「がんにならない完ぺきな食生活」なんていうのはありませんし、「食生活のせいで、がんになったのではないか」と思っている患者さんの大部分は、本当に食事のせいでがんになった(がんになりにくい食事をしていれば避けられた)わけではなさそうです。

 がんを発症していない人が、がんにならないように予防するのと、がんの患者さんが、がんになったあとの生活習慣を変えるのとは別の話ではありますが、前回のコラムで書いたように、がんになったあとの食生活を変えることで、がんの経過が変わるという明確な根拠もありません。

 「努力してもしようがない」ということを言いたいのではなく、「食事と病気を結びつける必要はなく、純粋に食事を楽しめばよい」ということをお伝えしたいのです。

  食事内容を気にしすぎるのは、ストレスにもなります。「ストレス」というのは、客観的には評価しにくいため、がんとの因果関係を明確に示すことは難しいのですが、その可能性はありそうです。そういう意味でも、食事を純粋に楽しむことは、人生においても、病気と向き合うことにおいても、プラスになるはずです。

「自分らしく生きる」ことを中心に

 病気というのは、人生の中の一部分にすぎません。病気を中心に考えて、その中に食事を位置付けるのではなく、「自分らしく生きる」ことを中心に考えて、その中に食事を位置付けるとよいのではないかと思います。

 というわけで、前回と同じメッセージになりますが、

 「今日も食事はおいしくいただきましょう!」

 ※「○○がなければがんになっていなかったと推測される割合」については、下記の文献を参照しました。

Inoue M, et al: Attributable causes of cancer in Japan in 2005-systematic assessment to estimate current burden of cancer attributable to known preventable risk factors in Japan

(高野利実 がん研有明病院乳腺内科部長)

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高野 利実 (たかの・としみ)

 がん研有明病院 乳腺内科部長
 1972年東京生まれ。98年、東京大学医学部卒業。腫瘍内科医を志し、同大付属病院で研修後、2000年より東京共済病院呼吸器科医員、02年より国立がんセンター中央病院内科レジデントとして経験を積んだ。05年に東京共済病院に戻り、「腫瘍内科」を開設。08年、帝京大学医学部付属病院腫瘍内科開設に伴い講師として赴任。10年、虎の門病院臨床腫瘍科に最年少部長として赴任し、「日本一の腫瘍内科」を目標に掲げた。10年間の虎の門時代は、様々ながんの薬物療法と緩和ケアを行い、幅広く臨床研究に取り組むとともに、多くの若手腫瘍内科医を育成した。20年には、がん研有明病院に乳腺内科部長として赴任し、新たなチャレンジを続けている。西日本がん研究機構(WJOG)乳腺委員長も務め、乳がんに関する全国規模の臨床試験や医師主導治験に取り組んでいる。著書に、かつてのヨミドクターの連載「がんと向き合う ~腫瘍内科医・高野利実の診察室~」をまとめた、「がんとともに、自分らしく生きる―希望をもって、がんと向き合う『HBM』のすすめ―」(きずな出版)がある。

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