「教えて!ドクター」の健康子育て塾
医療・健康・介護のコラム
うちの子、低身長?…判断の目安と「治療が必要なケース」
ある日の小児科外来に、学校健診の結果を手にした親子が入ってきました。
「学校健診で低身長と言われ、受診を勧められたのですが……」
子どもの「低身長」で受診される親御さんが、みんな不安そうな顔でやってこられるわけではありません。「本当に受診が必要なの? 家族も背が低いし」という方もいらっしゃいます。逆に、「背が伸びないのでは、と不安なんです。成長ホルモンの注射、やってもらえますか?」というご家族ももちろんいらっしゃいます。
何となく気になっていたけれど…
ちなみに日本や海外の研究から、低身長で受診・相談されるお子さんには、明らかに性差があることが分かっています。米国のある小児病院に低身長で紹介された288人の子どもを対象に調べたところ、男女比が1.9:1と明らかに男の子が多いことが分かりました。また、紹介のタイミングは、女の子の方がより「低身長の程度が強い」状態になってから、つまり、男の子の方が「まだ軽い段階」で紹介されてきていることも分かりました。 1) 日本の報告でも、ある内分泌診療クリニックを半年の間に受診した低身長の子ども406人の内訳は、男の子273人、女の子133人とされています。 2) 日本でも海外でも、男の子やその保護者の方が、低身長について気にしているのですね。
さて、低身長には痛みなどの症状があるわけではないので、「ある日、突然気づく」ということはありません。何となく気になっていて、学校健診などの際に成長曲線を示されたことが受診のきっかけであることも多いです。成長曲線は、成長が順調かどうかを調べる基準となる表のことで、低身長を知るのにとても役に立ちます。 日本小児内分泌学会のウェブサイト3) からダウンロード可能ですので、気になる方は、お子さんの身長を記録してみてください(男女別の表があります)。
低身長とは、この表で「-2SD」として示されている曲線を下回る場合を指し、100人中2~3人が該当します。お子さんの身長をこのグラフに記入し、曲線を下回っていないかを確認するわけですが、実は、それだけでは不十分です。特に大切なのは、1年間の伸び率=成長曲線の傾きで、これが標準の成長曲線と並行していればいいのですが、伸び率が著しく低いようなら相談をお勧めします。
1 / 4
【関連記事】
※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。
※個人情報は書き込まないでください。