声優 森川智之さん
一病息災
[声優 森川智之さん]ぜんそく(1)40歳で発症 ショック
40歳の時だった。気がつくと、寝ている間にせきが出ていた。うつらうつらしながら、自分のせきが遠くに聞こえた。せき込むたびに、体が跳ねるような感じがした。せきを抑え込もうとすると、余計にひどくなってしまう。
映画スターのトム・クルーズやキアヌ・リーブスなどの吹き替え、数多くのアニメやゲームのキャラクターにと、引っ張りだこの人気声優。「肉体的にも、精神的にも、すり切れるぐらい」の多忙な日々を送っていた。
たとえばアクション映画の戦闘シーン。全速力で走ったり、息切れしたり、叫んだり……。マイクの前に立ったままで、本当に肉体を動かしているかのような、発声をしなくてはならない。のどへの負担は大きい。
最初は風邪だと思って市販薬を飲んだが、1か月ほどしても、よくならない。「ちょっと変だな」と思い、かかりつけ医を受診した。声優にとって、のどは命。もともと風邪を引きやすいタイプで、何か異変を感じると医師にかかっていた。
ところが診断は、風邪ではなく、ぜんそく。子どもの頃に患った時期はあったものの、年齢とともに治り、自分では記憶にないほどの「過去の病気」だった。
「声優として、致命傷だと思いました。天から突き落とされたような気持ちでした」
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声優 森川智之 さん(53)
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