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医療・健康・介護のコラム

手首に硬い膨らみが……。ガングリオンって?

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 ガングリオン。聞いたことがない人も多いと思います。機械かロボットのようなイメージでしょうか。「ガングリオンです」と病院で言われてもピンとこないかもしれませんが、関節近くにできるゼリー状の物質が入った袋のことで、手首に多く見られます。
 今回は剣道の選手のケースです。

 E君は高校生です。小学生の時から地元の剣道チームに入っており、毎週日曜朝に稽古を行っています。約1か月前から手首を反らすと痛みがあり、左手首の甲に少し硬い膨らみを感じます。

突然、手首に硬い膨らみが……。ガングリオンって?

手首の甲に発生することが多い

 どこの部位でもそうですが、普段より膨らんでいるところが見つかると、何か悪いものができたのではないか、と心配になる人も多いでしょう。表面から見て明らかに膨らんでいる場合、ガングリオン、滑液包炎、脂肪腫、神経線維腫など、様々な病変が考えられます。

 ガングリオンは、ゼリー状の物質が入った 腫瘤(しゅりゅう) のことで、関節や腱などに生じます。関節液や 腱鞘(けんしょう) (腱が浮き上がるのを押さえる働きをする (さや) )の滑液が濃縮して、ゼリー状になると考えられています。触った感触では結構硬いこともあり、骨が出っ張ってきたと訴える方もいます。特にスポーツ選手に多く発症するわけではありませんが、スポーツをするときの手首の動きで痛みを感じることもあります。

 細胞が増殖して大きくなる腫瘍とは異なりますが、外観からはそれが腫瘍なのか、ガングリオンなのかは区別できません。単純X線にも写りません。超音波検査をすることで、内部が液体状であることが確認できます。MRI(磁気共鳴画像)検査でも、その内部の様子や周囲との関連性がよく分かります。ガングリオンとの診断がつけば、注射針を刺して内容物を吸引しますが、しばらく様子を見ていても大丈夫です。自然に吸収され、小さくなることもあります。

 それでは、E君の経過です。

 近くの整形外科で手関節のガングリオンと診断を受けました。最初は経過観察していましたが、1か月経過しても大きさと症状が変わらないため、再度受診して 穿刺(せんし) を希望しました。注射によりゼリー状の液体が吸引され、膨らみはへこみました。また、手首を反らした時の痛みも消失しました。

同じ場所に再びできることも

 ガングリオンでは再度、ゼリー状の液体がたまり膨らむことがあります。このような場合では、何度か穿刺を繰り返すうちに、膨らまなくなることがありますが、刺激になっている動作を控えておく方が無難です。穿刺しても改善が得られない場合、ガングリオンを手術で摘出するケースもあります。

 また、まれなケースとして、何か膨らみがあると感じていた腫瘤が、悪性の腫瘍である場合があります。サイズだけで良性と悪性の判断はできませんが、5センチ以上ある場合は悪性の可能性を念頭に置く必要があります。そのような場合には、必ず医療機関を受診してください。(大関信武 整形外科医)

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oozeki- nobutake_prof

大関 信武(おおぜき のぶたけ)

 整形外科専門医・博士(医学)、日本スポーツ協会公認スポーツドクター
 一般社団法人日本スポーツ医学検定機構代表理事

 1976年大阪府生まれ、兵庫県立川西緑台高校卒業。2002年滋賀医科大学卒業、2014年横浜市立大学大学院修了。2015年より東京医科歯科大学に勤務。野球、空手、ラグビーなどを通じて、野球肘、肩関節脱臼、アキレス(けん)断裂、骨折多数など自身が多くのケガを経験。スポーツのケガを減らしたいとの思いで、一般社団法人日本スポーツ医学検定機構を設立し、「 スポーツ医学検定 」を開催している。 現在、拓殖大学ラグビー部チームドクター、文京ラグビースクールコーチ兼メディカル担当。2019年ラグビーワールドカップでは選手用医務室ドクターを担当。八王子スポーツ整形外科、蓮江病院でも診療。

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