佐藤純の「病は天気から」
医療・健康・介護のコラム
片頭痛、関節リウマチ…天候悪化による痛みは推定1000万人に!? 異常気象で誰にもリスク
今年の梅雨は例年より長く、多くの地域で豪雨の被害が出ました。そして梅雨が終わったとたん、記録的な猛暑に見舞われました。9月に入ってからは、大型で強力な台風にも襲われました。地球温暖化が大きな要因と考えられている「異常気象」が毎年のように繰り返され、いまや、それが「普通」になってきたと感じている方は少なくないと思います。
激しい気象変動が体の許容範囲を超え

私たちには、体を取りまく環境(これには気象も含まれます)が変化しても、体内の環境を一定に保って病気にならないようにする仕組みが備わっています。ところが、気象変動が激しくなってくると、この調節機能の許容範囲を超えてしまい、誰でも「気象病」と呼ばれる病態になってしまう可能性があります。もともと持っている病気が悪化するだけでなく、それまで健康だった人にも発症したりするのです。
毎年、春から夏に話題になる「熱中症」は、気温や湿度の上昇に対し、体温を一定にする能力が負けてしまうために発症する「気象病」です。今年の猛暑で、初めて熱中症になってしまった人も多いと思います。また、季節の変わり目や天気の崩れで体調不良が起きるのも、一種の「気象病」です。今年のように梅雨が長かったり、強力な台風が来たりすると、寒暖差や湿度だけでなく、気圧の変化も、病気の発症に大いに関係してきます。
疼痛、うつ病、心疾患、脳血管疾患…に影響?
気象と病気の関係は、昔からよく知られています。 疼痛 疾患、うつ病などの精神疾患、心臓疾患、脳血管疾患、 喘息 、メニエール病など、実にさまざまなものが気象の影響を受けると言われてきました。特に痛みについては、片頭痛、 頸椎 症、関節リウマチ、変形性関節症、線維筋痛症などが知られています。私が所属する愛知医科大学学際的痛みセンターが行った住民アンケート(O市)では、慢性的な痛みがある成人は全体の39%でしたが、その4人に1人が、天気の崩れや悪天候で痛みがひどくなると答えています。国民全体に換算すると、推計で1000万人程度が、気象が影響する慢性痛(天気痛と呼んでいます)を持っていることになり、決して少なくない数です。
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