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性生活と降圧治療は両立可能か

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 ギリシャ・National and Kapodistrian University of AthensのCharalambos Vlachopoulos氏らは、男性の高血圧患者を対象に、降圧薬の服用が性機能に及ぼす影響を検討。その結果、未治療の高血圧男性は、正常血圧の男性に比べ陰茎の血流量が低下しているが、降圧治療によりその差は相殺されると、欧州心臓病学会(ESC 2020、8月29日~9月1日、ウェブ開催)で発表した。この結果は、降圧薬の服用による性機能への影響を懸念する男性にとって朗報だ。

対象は性機能障害を有する男性356例

性生活と降圧治療は両立可能か

(C)Getty Images ※画像はイメージです

 高血圧は早期死亡の主要因で、患者は全世界で10億人を超える。高血圧患者の大半は薬物治療を要するが、約半数が服薬アドヒアランス不良といわれる。服薬中断の理由として、1つには性機能障害がある。

 高血圧の男性は正常血圧の男性と比べて、陰茎の血流障害や性機能障害を呈する割合がほぼ2倍とされている。血圧が高い状態が持続することで動脈壁が傷害され、動脈硬化や血管内腔の狭窄に至り、陰茎の血流量が減少する。性機能障害は、血管の損傷を早期に警告するサインである。

 しかし、これまでの研究では、降圧治療を行っている男性の方が、未治療の男性よりも性機能障害が多いことが報告されている。また、利尿薬やβ遮断薬といった特定の降圧薬が性機能の低下と関連しているとの指摘もある。

 そこで今回Vlachopoulos氏らは、血圧値と陰茎の血流との関連について、また降圧薬による治療が両者の関係にどのような影響を及ぼすかについて検討した。

 対象は、性機能障害があり2006~19年に医療機関を受診した男性のうち、糖尿病または心血管疾患の病歴がない356例。血圧値により<1>正常値<2>正常高値<3>高値-の3群に分けた。全例に陰茎のカラードプラ検査を実施し、陰茎の収縮期最大血流速度(PSV)を測定。PSV 25cm/秒未満を陰茎の血流低下と定義した。

血圧値による陰茎PSV値の差は降圧治療で相殺

 降圧薬による治療を受けていたのは164例(46%)だった。

 解析の結果、高血圧未治療の男性において陰茎PSV値が最も高かったのは正常値群で、高値群では有意に低かった(P=0.01)。一方、降圧薬を服用している男性における陰茎PSV値は、3群間で差がなかった。

 Vlachopoulos氏は「降圧薬を服用していない男性における血圧の上昇に伴う陰茎PSV値の低下は、長期にわたり高い血圧にさらされることで生じた陰茎血管の構造変化によるものではないか」と推察。さらに、3群間の陰茎PSV値の差が降圧治療により消失した点については「服薬の効果が示唆される」とコメントした。

 続いて同氏らは、降圧治療の有無による陰茎PSV値の違いを各群ごとに検討した。その結果、血圧高値群では、降圧治療の有無にかかわらず陰茎PSV値に差はなかった。

 この結果について、同氏は「高血圧患者は既に陰茎動脈の構造的損傷が進行しており、降圧薬による治療を行っても陰茎PSV値のさらなる低下には至らないのではないか」との見解を示した。

薬剤変更は慎重に、患者との話し合いはオープンに

 Vlachopoulos氏は、性機能障害を有する男性で降圧薬を変更する際は、慎重に行う必要があると指摘する。「冠動脈疾患および心不全にβ遮断薬、心不全に利尿薬など、併存疾患があり特定のクラスの薬剤を使用するよう指示されている場合、薬剤の切り替えは推奨されない。ただし、性機能障害のため、患者が降圧薬の服用を中断するリスクがある場合には、代替案を検討する必要がある」とし、さらに「別のクラスの薬剤に切り替えても、性機能障害の改善が保証されるわけではなく、患者の不当な期待を避けるためには事前に十分説明することが大切だ」と述べた。

 最後に同氏は「今回の研究から、性機能障害を引き起こすことなく高血圧を治療できる可能性が示された。最善の治療選択のために、医師は患者とオープンに話し合う必要があるだろう」とまとめた。(比企野綾子)

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