メディカルトリビューン
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「通院していればがん検診不要」が半数 地方総合病院における内科定期受診患者の検討
地方総合病院の内科定期受診患者を対象に、がん検診の受診状況について千葉大学病院総合診療科/さんむ医療センター総合診療科の武田慧里子氏らが検討。その結果、同センターの定期受診患者におけるがん検診未受診率は7割弱で、うち半数が定期通院をしていれば検診は受けなくてもよいという認識だったと第11回日本プライマリ・ケア連合学会(7月23日~8月31日、ウェブ開催)で報告した。
定期受診に対する誤った認識
日本におけるがん検診受診率は5割以下で欧米の先進国と比べて低い状況にある。また、がん検診の未受診理由は世論調査の報告はあるが、外来定期受診者では明らかになっていない。今回武田氏らは、地方総合病院である同センター一般内科外来に定期通院している患者のがん検診の未受診率と未受診理由を明らかにするため調査を行った。
2019年10月に同センター一般内科外来を定期通院した40歳以上の患者200例を対象に2019年度の大腸/胃/肺がん検診の受診の有無、未受診理由について前向きに自記式調査を行った。
有効回答者数189人(男性103人、女性86人、有効回収率94.5%)であった。
大腸/胃/肺がん検診の全て未受診が68.2%(129人)、全て受診が6.9%。各がん検診の受診者数は、肺42人、大腸38人、胃24人だった。
未受診理由(複数回答可)については、「定期受診しているため不要と考える」が50.0%、「2年以内に胃カメラ/数年以内に大腸カメラ/1年以内で胸部X線検査を実施した」が32.3%と多かった (図) 。
図.がん検診未受診の理由(複数回答)
「定期受診しているため不要と考える」と回答した65人のうち、2年以内に胃カメラ/数年以内に大腸カメラ/1年以内に胸部X線検査、個別の人間ドックなどの精査を行ったのは23人(35.4%)で、全く精査を行っていなかったのは42人(64.6%)だった。
先行研究においてがん検診や特定検診を含めた集団検診の未受診理由として「病院に通院しているから」が第一の理由であると報告されている。医療機関を受診中の患者は定期受診に対し誤った認識を持っている可能性があり、医療者からがん検診の受診を推奨する必要があると考えられる。
以上から、武田氏は「当センター一般内科外来の定期受診患者のがん検診における未受診率は7割弱であった。未受診理由の約半数は『定期的に通院をしていればがん検診を受ける必要はない』という認識で、うち6割は精密検査を受けていなかった。このことから医療機関に定期通院している患者に対しても、がん検診の受診を促す必要があると考えられる」とまとめた。(編集部)
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