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[女優 鈴木杏さん](上)コロナ禍に初の一人芝居 「命がけで」来てくれた客に見せた迫真演技

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クラスターを絶対作らない 緊張感の中で公演

[女優 鈴木杏さん](上)コロナ禍に初の一人芝居 「命がけで」来てくれた客に見せた迫真演技

――そんなコロナ禍を乗り越えて、7月に上演された初の一人芝居「殺意 ストリップショウ」(東京・シアタートラム)は、迫真の演技が新聞の劇評でも絶賛されました。公演を終えて、改めて振り返っていただけますか。

 すごく運が良かったのは、一人芝居だったからこそ公演ができたという面があって、大きかったと思います。劇場の世田谷パブリックシアター・シアタートラムとしても、コロナによる中止から再開して最初の作品だったので、その責任というのも、強く感じていました。コロナの感染を起こしてはいけない、クラスターを作ってはいけないというのは絶対でしたし、その緊張感はみんなが持っていました。

 普段のお芝居でしたら当たり前の、楽屋での面会も差し入れもNGという状況でした。劇場と家の往復で過ごした2週間で、終わったすぐ後は、やりきったという気持ちよりも、「逃げ切った」という気持ちの方が正直強かったです。しばらくたってから、「実はすごい時間を過ごしていたんだな」という実感が湧いてきました。

――約2時間、膨大なセリフを一人で演じられました。

 あの戯曲を演じるということ自体、私にとっては大変な時間だったし、それプラス世界の状況が重なって、本当に濃密で特殊な時間が流れていたと思います。もともとこの作品をやる前とやった後では、自分というものが変わるんだろうなと思っていました。実際、価値観の変化は予想以上でした。

 一番は、今まで演劇とか映画とかドラマとかエンターテインメントって、心に触れるものだと思っていたんですけど、なんかもう一つ深いところで、命に触れるものなんだなということを強く感じたんです。

「濃厚で、めまぐるしい夏でした」

――「命に触れる」とは?

 お客様にとっても、コロナ禍の中で、劇場に来るということは命がけなわけで……。命がけで劇場に足を運んでくださったお客様の視線を浴びて、毎日を過ごしていたことで、もっと深いところに触れてるんだというのを、はっきりと感じました。演劇やエンターテインメントって、全部そうだと思います。自分の中の大きな価値観の変化がありました。

 これからまた、演技をしたり舞台に立ったりするときに、自分はどんなふうにあるべきか、ちゃんとしておかなきゃいけないと改めて感じました。そんな心境の変化もあって、この夏はとても濃厚で、めまぐるしくて、なかなか落ち着きませんでした。9月に入って少し落ち着いたかなっていう感じです。

いつか、もっと多くの人に見ていただきたい

 ――余韻のようなものはありますか。

 公演を終えて1か月以上たちますけど、いまだに何かセリフをちょっと反すうすると、全部覚えています。

――客席の数も制限されていましたし、見ることができたお客さんは、本当に幸運ですね。

 素晴らしい戯曲なので、もっと多くの方に見てほしいと思います。今まで上演記録もほとんどない戯曲なので、今後も上演されるものとして残っていってほしいという気持ちがすごく強いです。

 本当に、多くの人に見てほしいという思いがあります。ストリップ小屋の設定なので、桟敷席を作れるぐらいの状況になったらいいねっていう話をみんなでしていました。

女優・鈴木杏さん

すずき・あん 1987年、東京都出身。96年にテレビドラマでデビュー。テレビ、映画、舞台などで活躍の場を広げる。2003年に「奇跡の人」で初舞台を踏む。2012年に映画「 軽蔑(けいべつ) 」にて第26回高崎映画祭最優秀主演女優賞、17年に「イニシュマン島のビリー」、「母と惑星について、および自転する女たちの記録」にて第24回読売演劇大賞最優秀女優賞を受賞。20年7月には初の一人芝居「殺意 ストリップショウ」を演じた。東京芸術祭2020 東京芸術劇場30周年記念公演「真夏の夜の夢」に出演予定。10月15日~11月1日に「東京芸術劇場 プレイハウス」、ほか、新潟・松本・兵庫・札幌・宮城で上演予定。

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