いつか赤ちゃんに会いたいあなたへ
医療・健康・介護のコラム
不妊治療で6回転院のケースも! 施設の情報開示を 保険適用に期待高まる
ホルモン剤、手術、人工授精… 転院繰り返す女性
Kさんが、生理不順を心配して病院の門をたたいたのは結婚前の28歳の時です。最初は近所の婦人科に行き、ホルモン剤を服用することから始まりました。しかし、なかなか改善せず、次は近くの総合病院の婦人科に行きました。そこで診断されたのは多嚢胞(たのうほう)性卵巣症候群(略してPCOSやPCO。月経不順、卵巣に小さな嚢胞(卵胞)がたくさんある、男性ホルモンが高くなるなどホルモン値のアンバランスがみられる、この三つがそろうと診断される。 一般社団法人日本内分泌学会ホームページ より)というもの。
そこでも同様の治療を受けたものの、やはり改善しません。そこで医師から提案を受けたのは、手術でした。Kさんは「結婚前に妊娠できるように体を整え、結婚後はすぐに妊娠・出産をしたい」と願っていたため、開腹手術を受けました。その結果、2周期ほどは排卵がありましたが、結婚する時期にはまた元の状態に戻ってしまいました。
「手術までして子どもを産めるようにと願っていたのに……。女性としての価値がない。夫に申し訳ない」とKさんはとてもショックを受け、落ち込んでしまったそうです。
それでも「二人の子どもが欲しい」と、その病院に通っていましたが、転居のため、別の病院に行くことになりました。しばらくタイミング療法を行ってみたものの、やはり妊娠せず、ホルモン剤を使って「人工授精」を行うことになりました。しかし、2年近く治療を繰り返しても結局、妊娠に至らず、その病院では「人工授精以上の治療ができない」と言われて、転院を勧められました。
「あなたはうちでは妊娠できませんので転院してください、と言われて、なんだか見放されたようで、途方にくれてしまいました」と、その時のつらい気持ちを語ってくれました。不妊治療の病院は確かな情報がなく、次の病院を探すことも大変だったことや、それまでの治療で精神的にも身体的にも疲れていたこと、また、次の段階の体外受精には経済的な不安もあったことなどで、Kさんは次の病院に行くまで半年以上もかかってしまいました。その間にも年齢を重ねることが気にかかりましたが、様々な条件を考えると、すぐに決めることはどうしてもできませんでした。
2 / 3
【関連記事】