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インフル入院患者の12%に心合併症 米国・8万人超の横断研究

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 インフルエンザ患者において急性心血管イベントを合併する割合は8人に1人(約12%)だった。米疾病対策センター(CDC)のEric J.Chow氏らは、2010~11年から8シーズンにわたりインフルエンザで入院した成人患者8万人超を対象とした横断研究の結果をAnn Intern Med( 2020年8月25日オンライン版 )に報告した。インフルエンザ関連急性心血管イベントの予防策として、特に基礎疾患のある患者のインフルエンザワクチン接種率を高める必要性を強調している(関連記事「 インフルワクチンは心疾患の予防薬 」)。

8シーズンの心血管イベントを解析

インフル入院患者の12%に心合併症 米国・8万人超の横断研究

(C)Getty Images ※画像はイメージです

 毎年CDCは生後6カ月以上の全ての人にインフルエンザワクチン接種を推奨している。心疾患患者を含めインフルエンザ合併症が重症化しやすい人にとってインフルエンザ予防接種は常に重要と考えられている。心疾患患者は弱毒生インフルエンザワクチン(経鼻インフルエンザ生ワクチン)を接種すべきでないが、不活化(日本で接種可能)または遺伝子組み換えインフルエンザワクチンなどの筋肉内接種が適切としている。

 今回の研究では、米国のInfluenza Hospitalization Surveillance Networkの8シーズン(2010~11年から2017~18年)にわたるデータから、開業医が指示した検査でインフルエンザが確認され入院した成人患者において、退院時ICDコードによって急性心血管イベントを同定、急性心不全(aHF)および急性虚血性心疾患(aIHD)のリスク因子を検討した。

心不全や虚血性心疾患が最多

 検討の結果、インフルエンザで入院した成人患者8万9,999例中8万262例(年齢中央値69歳、四分位範囲54~81歳)で診療記録データおよびICDコードが得られ、11.7%が急性心血管イベントを合併していた。これらの患者の30%が集中治療室に入室し、7%が入院中に死亡した。

 急性心血管イベント(相互に排他的でない)で最も多かったのはaHF(6.2%)とaIHD(5.7%)。ロジスティック回帰モデルを用いて、年齢、性、人種/民族、喫煙、慢性疾患、インフルエンザ予防接種、抗インフルエンザ薬、インフルエンザ型/亜型で調整後も、高齢、喫煙、基礎疾患としての心血管疾患、糖尿病および腎臓病が、aHFとaIHDのリスク上昇に有意に関連していた。

特に運動選手は回復後も要注意

 研究の限界として、Chow氏らは「インフルエンザ検査は開業医の指示に基づいていたため、症例の検出が不十分だった可能性がある。急性心血管イベントは、退院時ICDコード誤分類バイアスの影響を受ける可能性がある」と述べた。

 その上で同氏は「インフルエンザで入院した地域住民を対象とした今回の研究では、患者の約12%が急性心血管イベントを合併していた。先行研究でインフルエンザの心合併症は指摘されていたが、今回の研究ではその頻度が高く、インフルエンザ予防接種を早期に受けることの重要性が示された」と結論した。

 今回の研究では、基礎疾患が記録されていないにもかかわらず、インフルエンザで入院した患者の5%に心合併症があったことも分かった。

 Chow氏は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にも言及。COVID-19から回復後、練習中に明らかな急性心筋梗塞で死亡した女性バスケットボール選手の症例に言及。「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した健康人に心合併症が起こっても驚くには当たらない。同ウイルスは、肺や心臓、その他の臓器に損傷を及ぼす可能性がある。炎症が生じると、激しい運動中に致死性不整脈を起こしやすくなる」と注意喚起している。(坂田真子)

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