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新・のぶさんのペイシェント・カフェ 鈴木信行

医療・健康・介護のコラム

突然の強烈な眠気や脱力に襲われ

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学業にも支障 怠けているとの誤解も多く

オンラインで対談する駒沢さん(左)と筆者

オンラインで対談する駒沢さん(左)と筆者

 原因は、はっきりしているのだろうか?

 「脳の中のオレキシン(ヒポクレチン)という物質を作り出す神経細胞が消失することはわかっているのですが、それ以外にも原因はあるようです」

 どうやら完全に解明されてはおらず、今もなお研究段階ということのようだ。

 生活に支障はないのだろうか?

 「そりゃ、ありますよ。私は、小学生の頃に発症していたと思うのですけど、周囲からはよく寝る子だと言われ続けていたんです。中学生の時に自宅にあった本で初めてナルコレプシーという病気を知りました。確定診断を受けたのは高校生。学校では、休み時間にトイレでよく寝てました。まぁ、数分でも寝るとしばらくはすっきりするので、なんとか学校生活はできていましたけど、成績だって落ちるし、授業中に寝てしまって怒られることもしばしばでした」

 この病気は思春期から青年期に発症することが多いのだという。今では笑顔を絶やさずに話しているけれども、当時はきっとつらい気持ちに何度もなったことだろう。

 「大人になってからも、相手を選んで病気の説明をしていますよ」

 どうしても怠けている、さぼっているという目で見られてしまう。病気の説明をしたところで、聞く耳を持たないに人は理解されないらしい。見た目にわからない病気、そして患者数の少ない病気の難しさである。

 ちなみに、日本では600人に1人ぐらいの割合で発症するらしい。正しい診断が受けられずに、単に怠けていると誤解されてしまっている人も少なくないのではないだろうか。

飲み薬で眠気をコントロール

 「もしかして、いま突然、このカフェで寝入ってしまうかもしれないんですか?」

 駒沢さんにこのカフェで寝られても困ってしまう。率直な疑問を投げかけてみた。

 「いまは薬を飲んでいるから大丈夫ですよ」

 失礼ながら、安心したという気持ちもある。

 ナルコレプシーの眠気対策として有効とされている薬は3種類ある。それぞれ特徴があり、うまく使い分けてコントロールするのが重要らしい。

 「しかし、根本的な治療法はまだありません。もう、眠くなったら寝る! それが一番です」

 なかなか診断がつかないのは、専門とする医師が少ないのも理由だという。

 「診療科でいうと、心療内科・精神科や神経内科の睡眠外来を受診する患者が多いと思います。でも、ナルコレプシーなどの睡眠に関する病気をしっかりと診られる医師は、多くないんですよね」

 駒沢さんは、そもそも睡眠に関する研究が進んでいないうえ、重大な病気として考えられていないような雰囲気も感じるそうだ。

 ちょうどいまの時刻。カフェはランチタイムを終えてのんびりしている。私は、カウンターの中にあるスタッフ用の折りたたみいすを広げ、ゆっくりと話の続きを聞くことにした。

(鈴木信行 患医ねっと代表)

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鈴木信行(すずき・のぶゆき)

患医ねっと代表。1969年、神奈川県生まれ。生まれつき二分脊椎の障害があり、20歳で精巣がんを発症、24歳で再発(寛解)。46歳の時には甲状腺がんを発症した。第一製薬(現・第一三共)の研究所に13年間勤務した後、退職。2011年に患医ねっとを設立し、より良い医療の実現を目指して患者と医療者をつなぐ活動に取り組んでいる。著書に「医者・病院・薬局 失敗しない選び方・考え方」(さくら舎)など。


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