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Dr.三島の「眠ってトクする最新科学」

医療・健康・介護のコラム

「寝入りばなの金縛り」「睡眠中に暴れる」は病気かも 早めに受診を

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「寝入りばなの金縛り」「睡眠中に暴れる」は病気かも 早めに受診を

 こんにちは。精神科医で睡眠専門医の三島和夫です。睡眠と健康に関する皆さんからのご質問に、科学的見地からビシバシお答えします。前回は、レム睡眠中に生じる筋脱力が金縛り(睡眠 麻痺(まひ) )の原因であることをご紹介しました。金縛り以外にも、レム睡眠に関連した睡眠病があります。今回はその中から代表的なものを二つご紹介します。

オカルトチックな体験をするわけ

  前回のコラムで金縛りを取り上げたところ、読者からたくさんのコメントが寄せられました。レム睡眠中の筋脱力は正常な現象なので、慌てずにレム睡眠が終わるのを待ちましょうと書きましたが、「恐怖感が強く、そんな悠長なことはしていられない」というご意見が多数ありました。「えたいの知れない不気味な感じ」「布団の上に誰かが乗っている」「枕元に何者かがいる」などのオカルトチックな体験をした方も少なくないようです。

 実は、これらの幻覚様の体験もレム睡眠が引き起こしています。金縛りはレム睡眠中(すなわち睡眠中)に生じますが、レム睡眠中の脳は覚醒時と遜色ないほど活発に働いているため、夢体験をまるで現実のことのように感じます。しかも、恐怖感や不安感を伴うことが多く、夢の内容を鮮明に記憶しています。それが、オカルトチックな体験となるのです。

笑ったと思ったら、突然眠り始める

  さて、金縛り以外にも、レム睡眠に関連する症状が頻発する睡眠・覚醒障害があります。例えば、ナルコレプシーと呼ばれる病気がそうです。脳を覚醒させるホルモンであるオレキシンが何らかの原因で枯渇するため、夜間に十分眠っていても、日中に強い眠気が生じる睡眠病の一種です。日本人の500~600人に1人がかかる珍しい病気で、主に10代から20代前半の若年で発症します。

 通常、レム睡眠は夜、眠りに入り1時間以上たってから出現します。日中には出にくく、昼寝でもめったにレム睡眠は見られません。ところが、ナルコレプシーでは、日中、突発的に何度もレム睡眠が出現してしまうのが特徴です。それまで目覚めて活動していたのに、突然眠り始め、その際、レム睡眠の筋脱力のため体を支えることができず、崩れ落ちるように倒れ込んだりします。このような脱力は、笑ったり、驚いたりするなど情動の急激な変化とともに生じることが多いため、「情動脱力発作」と呼ばれます。

 夜間もレム睡眠は出現しやすく、入眠直後に現れたりします。そのため、寝入りばなのウトウトしている時間帯にしばしば金縛りが出現したり、先に説明した幻覚様体験(入眠時幻覚)が出現したりします。ナルコレプシーの主な症状は日中の眠気ですが、金縛りや入眠時幻覚を心配して受診し、診断されるケースもあるのです。

 ナルコレプシーの治療には、眠気については覚醒度を高める薬を、情動脱力発作や金縛りなどについてはレム睡眠を抑える効果のある抗うつ薬などを用います。

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三島和夫(みしま・かずお)

秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座 教授

 1987年、秋田大学医学部卒業。同大助教授、米国バージニア大学時間生物学研究センター研究員、スタンフォード大学睡眠研究センター客員准教授、国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長を経て、2018年より現職。日本睡眠学会理事、日本時間生物学会理事。著書に『不眠症治療のパラダイムシフト』(編著、医薬ジャーナル社)、『やってはいけない眠り方』(青春新書プレイブックス)、『8時間睡眠のウソ。日本人の眠り、8つの新常識』(共著、日経BP社)などがある。

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