教えて!ヨミドック
医療・健康・介護のニュース・解説
パルスオキシメーターとは何?
動脈血の酸素濃度測定
Q 新型コロナウイルス対策に使う「パルスオキシメーター」という機械があるんだって?
ヨミドック 洗濯ばさみのように指先を挟んで使う医療機器です。病院や訪問診療の現場では日常的に使われてきました。新型コロナの流行をきっかけに、一般的に名前が知られるようになりました。
Q 感染しているかが分かるの?
ヨ 重症の肺炎を起こしていないかを判断するものです。感染しているかどうかはわかりません。心臓から全身に血液を送り出す動脈血の酸素濃度(酸素飽和度)を測って、肺に入った酸素が血液に乗って正常に行き渡っていることを確かめます。酸素を運ぶ血液中のヘモグロビンは酸素にくっつく能力がありますが、その何%が機能しているかを数値で表示します。
Q 血を採らなくてもわかるんだね。びっくりだ。
ヨ ヘモグロビンに酸素がくっつくと色が鮮やかな赤になります。その性質を利用し、皮膚に光を当てて動脈血の色合いから酸素の比率を割り出しています。皮膚の下には静脈も他の組織もありますが、動脈特有のドクドク脈打つ拍動を探り当てて動脈血の様子を捉えることができます。この仕組みを考案したのは、日本人なんです。
Q え、本当?
ヨ 日本光電の青柳卓雄さんです。1974年のことでした。残念ながら青柳さんは今年4月に亡くなりましたが、その発明は、世界中の人の命を救っています。手術中に患者さんの急変をいち早く察知するのに役立ち、医療事故を減らすことにも貢献しているんですよ。
Q 市販もされているね。家庭ではどんなふうに使ったらいいの。
ヨ 発熱やせきといった症状があって自宅で休んでいる時に、酸素飽和度も測ってみるとよいでしょう。持病で酸素吸入をしている人は別ですが、一般的には96~100%なら正常です。94%を下回る値が続くようなら受診しましょう。2%程度の誤差はあるので、かかりつけ医と相談しながら使ってください。
(高梨ゆき子、取材協力=宮坂勝之・聖路加国際大名誉教授、布施淳・ウェルビーイングクリニック駒沢公園院長)
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