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宋美玄のわーままクリニック

医療・健康・介護のコラム

総裁選で注目「不妊治療の保険適用」 でも、若いうちに妊娠できる社会づくりも重要です

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若いうちに妊娠を考えられる社会に

 不妊治療を専門とする医師たちによれば、施設もしくは医師によって、不妊治療の質にはかなり大きな差があるそうです。また、価格も施設によって開きがあります(もちろん、高いから質が高いということではありません)。保険が適用された場合、どのくらいの点数(価格)に設定されるかにもよりますが、固定費の高い都市部の施設などでは、現在よりも経費を削減しなければならなくなる可能性が高いのです。その上で、「質を保つのは難しい」ということが起きるかもしれません。

 日本は不妊治療が盛んに行われている国の一つで、体外受精が行われる数はとても多いのですが、その妊娠率は世界の中でも低いほうです。これは、体外受精を開始する年齢が高くなっているためと考えられます。現在行われている不妊治療をそのまま保険に適用することは、公共性の面からは問題があると思われ、年齢や回数制限などが必ず議論されるでしょう。

 費用の面だけでなく、「もっと若いうちに妊娠を考えられるような社会」にすることが大事で、それは昔から繰り返し叫ばれていることです。高額な費用のため体外受精に踏み出せず、年齢を重ねてしまったというケースは、保険適用で自己負担額が安くなれば、減るかもしれません。現在、一部の施設で行われている、エビデンスが不十分な独自性の高い治療法が、根拠に基づく治療に切り替わっていくなら、それも保険適用のメリットと言えるでしょう。

妊娠・出産・育児の切れ目ないサポートを

 望む人が子供を授かり、その子供たちがハッピーに育てられるためには、たくさんの課題があります。同じく自民党の総裁選に出馬している岸田文雄氏は、出産の自己負担額を実質ゼロにすると発言しました。不妊治療や妊娠出産にかかる費用が軽くなることはプラスだと思いますが、それは新しい世代を生み出す「ほんの入り口」でしかありません。政治家の方たちには、インパクトや人気取りではなく、若い世代の幸せを考えた妊娠・出産・育児の切れ目ないサポートをお願いしたいです。(宋美玄 産婦人科医)

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宋 美玄(そん・みひょん)

産婦人科医、医学博士。
1976年、神戸市生まれ。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。 詳しくは宋美玄オフィシャルサイト

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