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難治がんから子どもを救う…遺伝子解析の未来 奥野友介・名古屋大講師に聞く

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会場の隅から元気な姿を

 

――それが治療につながった?

 試験管では、その子の白血病細胞に対し、大人の肺がん向けの分子標的薬の効果が認められました。秋田の先生に知らせて治療を始めてもらったところ、1か月で白血病細胞が見られなくなり、骨髄移植を受けられるまでに回復しました。

――元気になった患者さんにはお会いになりましたか。  2年後にイベントで名古屋に来られたので、元気な様子をちらっと。以前は、遺伝子解析をする担当者は、患者の個人情報に接するべきでないとされていましたので、私は隅の方からひそかにのぞいていました(笑)。

――では、患者さんとは普段もあまり接点がない?

 病棟には行くんですが……。 研究する中で、誰が亡くなったかは知っていて、その子の名前の習字の作品が、病棟にまだ貼ってあったりするのを見るのはつらいです。子どもの白血病だと、入院は長期にわたりますから、子どもたちは仲良くなるんです。でも、そのなかで、亡くなっていく子は3割程度いる。そうした状況で、わが子をみていく親御さんもつらいですよね。少しでも、治せるケースを増やしていければと考えています。

名古屋の地元愛に支えられ

――名古屋大病院で治療する患者さんが年間100人前後。全国では年間約2000人が小児がんを発症しています。今後、必要とされる取り組みはどういったことでしょう。

 2000人の遺伝子解析だってできないことはない。ただし、資金は必要です。今は名古屋小児がん基金のほか、民間の寄付に頼っています。名古屋の人は地元愛が強いそうで、企業も個人もよく協力してくださいます。 米・セントジュード小児研究病院では、今でも9割治るとされる急性リンパ性白血病を、10割治るようにしようと取り組んでいる。これに少しでも近づき、将来は、もっと多くの患者の治療に貢献できるような体制を目指したいと考えています。

奥野友介 (おくの・ゆうすけ)  名古屋大学病院ゲノム医療センター病院講師。2006年、同大学医学部医学科卒業。同大学病院小児がん治療センター助教、先端医療・臨床研究支援センター特任講師を経て、19年から現職。

 

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