文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

知りたい!

医療・健康・介護のニュース・解説

難治がんから子どもを救う…遺伝子解析の未来 奥野友介・名古屋大講師に聞く

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 全国で年間約2000人が発症するとされる小児がん。大人のがんと比べて少数なのに加え、疾患の種類も多く、研究と治療が進んでいない分野だ。そのなかで、名古屋大病院では、患者の遺伝子解析によりがんの原因と治療法を探す試みが続けられ、難治とされた小児白血病患者の治療につながったケースもあるという。同病院ゲノム医療センター病院の奥野友介講師に聞いた。(聞き手・梅崎正直)

希少だが種類は多い小児がん

奥野友介講師

――名古屋大学病院は、年間100人前後の小児がん患者の診療に携わっています。この全員に対して遺伝子解析を行うというプロジェクトを展開していらっしゃいます。その目的はどういったことでしょう。

 実際には、資金面の制約もあって、全員にはできません。小児がんの種類は多く、希少な疾患もあります。大人であれば一つの遺伝子や多くても100程度を調べればいいのですが、子どもではそうはいきません。名古屋大病院にある次世代シーケンサ―という装置では、1週間程度で、一人の患者の遺伝子情報を全て調べることができます。それによって、希少な小児がんの原因を知り、治療法の開発につなげるのが目的です。

――水泳の池江璃花子選手が発症した急性リンパ性白血病も、子どもには多いと聞きます。

次世代シーケンサーを使う奥野講師(提供:名古屋小児がん基金)

 私たちの病院で診療している患者のうち、約3分の1は白血病、その中でも多いのが急性リンパ性白血病です。また3分の1が脳腫瘍、それ以外にはまだよくわかっていないがんも含まれます。

 急性リンパ性白血病の9割は治ると言われていますが、残りの1割の中には「9割治らない」白血病もあるんです。遺伝子解析で知りえる情報を、こうした疾患の治療につなげていきたい。

長期的な視点と目の前の子ども

――となると、長期的な視点で進めていく研究ということでしょうか。

 これが一般的になるまでと考えると、20年はかかると思いますが、目の前の1人の患者さんを助ける可能性はあります。4年前ですが、秋田の先生から問い合わせがあり、5歳の白血病の女の子で、抗がん剤治療の1年後に急に悪化し、治療の見通しがたたなくなったということでした。ただ、私たちが以前に遺伝子解析で発見したタイプの白血病に似ているというので、秋田まで行ってその子の検体を取り、持ち帰って調べました。その結果、やはり同じタイプで、大人の肺がんと同じ遺伝子変異がありました。

1 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

知りたい!の一覧を見る

最新記事