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今井一彰「はじめよう上流医療 あいうべ体操で元気な体」

医療・健康・介護のコラム

マラソン選手は風邪を引きやすい 激しい運動も過度な安静も健康には良くない

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屋外は汚れた空気を吸うリスクの一方、日に当たるメリットも

 大気汚染の代表的な物質であるPM2.5の増加は、新型コロナウイルス感染症の増加とも有意に関係しています。黄砂がたくさん飛来した翌日は急性心筋 梗塞(こうそく) が増えるという研究もあります。何げなく吸っている空気ですが、空気が汚れていては逃げようがありません。幹線道路など大気汚染が目立つところでは、肺機能に障害が出ることも示されています。さらに子どもの風邪も増えることがわかっています。

 長期的にPM2.5に 曝露(ばくろ) されたグループは新型コロナウイルスによる死亡率が高まったという報告もありますから、大気汚染がひどい日は、おちおち外に出ることもできません。ところが、自粛ばかりで室内で過ごす時間が増えると、座っている時間、間食の回数も増えてしまいます。これでは逆に不健康になってしまいそうです。

 たとえ大気汚染があっても、外での定期的な運動によって、その悪影響を打ち消せることが分かっていますし、日光に当たれば体内でビタミンDが作られ、骨粗しょう症の予防にもなります。日照時間が少なくなる冬は、より積極的に体を動かし、日光に当たることを心がけたいものです。

新型コロナで大気汚染も改善

 新型コロナウイルスの影響で全世界的に産業や人の行き来が停滞していますが、それによって急速に大気の状態が改善しています。

 スモッグと大気汚染で知られてきた米国ロサンゼルスも、ロックダウン(都市封鎖)後にはPM2.5濃度が40%も低下して、空気のきれいな日が続いていたそうです。インド北部のパンジャブ地方から数十年ぶりにヒマラヤが見えたというニュースもありました。

 みなさんの周囲ではいかがですか。これまでよりも星がキレイだ、遠くの景色まで見える、なんてことはありませんか。そんな時にウォーキングするのもいいものです。

 屋内で過ごし続けるリスク、屋外で活動し続けるリスク、どちらも考えながら新しい生活様式を探っていかねばなりません。

ジョギングでも鼻呼吸を意識して

 長引くせきや咽頭痛といった万年風邪とも言える症状で悩んでいた40代のAさんの趣味はランニング。体に悪いからとすっぱり禁煙して、体力維持のために走っているのですが、なかなか調子が上向きません。「元気にランニングできるようになりたい」と言って受診してきたのですが、口唇閉鎖力や舌圧がとても低く、走って鍛えた脚力とは比べものになりません。

 「ランニング中に口呼吸になっている可能性がありますよ。できる限り鼻呼吸で走るようにしてください。もちろん、あいうべ体操もお忘れなく」と伝えて4か月後にはせきも咽頭痛もなくなり、元気に走れるようになりました。ところが、気を良くして走りすぎて膝を痛める結果に。何事もほどほどがよいようです。(今井一彰 みらいクリニック院長・内科医)

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今井 一彰(いまい・かずあき)

 みらいクリニック院長、相田歯科耳鼻科内科統括医長

 1995年、山口大学医学部卒、同大学救急医学講座入局。福岡徳洲会病院麻酔科、飯塚病院漢方診療科医長、山口大学総合診療部助手などを経て2006年、博多駅近くに「みらいクリニック」開業。日本東洋医学会認定漢方専門医 、認定NPO法人日本病巣疾患研究会副理事長、日本加圧医療学会理事、息育指導士、日本靴医学会会員。

 健康雑誌や女性誌などに寄稿多数。全国紙、地方紙でも取り組みが紹介される。「ジョブチューン」(TBS系)、「林修の今でしょ!講座」(テレビ朝日系)、「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)、「ニュースウオッチ9」(NHK)、「おはよう日本」(同)などテレビやラジオの出演多数。一般から専門家向けまで幅広く講演活動を行い、難しいことを分かりやすく伝える手法は定評がある。

 近著に「足腰が20歳若返る足指のばし」(かんき出版)、「はないきおばけとくちいきおばけ」(PHP研究所)、「ゆびのば姿勢学」(少年写真新聞社)、「なるほど呼吸学」(同)。そのほか、「免疫を高めて病気を治す口の体操『あいうべ』」(マキノ出版)、「鼻呼吸なら薬はいらない」(新潮社)、「加圧トレーニングの理論と実践」(講談社)、「薬を使わずにリウマチを治す5つのステップ」(コスモの本)など多数。

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