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山中龍宏「子どもを守る」

医療・健康・介護のコラム

ブドウの皮をむいてあげた父親の目の前で…乳幼児の窒息死 「柔軟な球形」が危ない

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姉が弟の口に入れて窒息

 乳児の場合、自分で口に入れなくても、年長の子どもが入れてしまう場合があります。

 事例5: 5か月男児。午前10時頃、子どもを歩行器に乗せていたところ、突然せき込み、全身チアノーゼとなった。10時45分頃、救急車で医療機関に搬送。来院時、心肺停止の状態だったが、当日はミルクと果汁しか飲んでおらず、気道を閉塞するような原因は見当たらなかった。胸部レントゲン写真を撮ったところ、気道に異物を詰まらせたと疑われ、気管支ファイバースコープを入れて調べると、左気管支に褐色で球形の異物が認められた。異物 鉗子(かんし) でつまんで取り出そうとしたところ、異物はつぶれ、つまんだ皮だけが取り出された。異物の正体はイクラだった。母親に詳しく聞くと、テーブルの上に置いてあったイクラを3歳の姉が与えたと推測された。イクラを除去した後、呼吸状態は改善したが、低酸素性脳症となって重度の後遺症を残し、後日、死亡した。(参考文献)

 ヒトの気管は、その人の小指の太さと同じくらいと言われています。それを知っていれば、5か月児がイクラを気管に詰まらせることは想像できると思います。このようなケースでは、もし発見が遅く、すでに死亡していた場合、乳児突然死症候群と診断されていたと思われます。

 この他、生のニンジン、棒状のセロリなどの野菜による窒息もあります。スイカや夏ミカンの種、トウモロコシなどの例も知られています。

「応形性」があるものは危険

 食物で気道が閉塞して死に至るかどうかは、その大きさ、形、硬度などによって決まります。丸い食べ物で、柔軟性があり、 気道の形に合わせて変化しやすい「応形性」があるものはとくに危険です 。このような食物を乳幼児に与えるときは、切ってからにしてください。

 育てやすいからか、家庭菜園や保育所の園庭でミニトマトを栽培しているのを見かけます。実がなると、子どもは興味を持ち、もぎ取って口に入れようとしますから、たいへん危険です。幼児がいる間は、他の野菜の栽培に変更すべきだと思います。(山中龍宏 緑園こどもクリニック院長)

参考文献:
  • 大森さゆ、玉谷卓、上牧勇、小林靖明、樋口昌孝、川崎一輝:イクラによる気管支異物の1例 小児内科、30:1363-1365,1998

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山中 龍宏(やまなか・たつひろ)

 小児科医歴45年。1985年9月、プールの排水口に吸い込まれた中学2年女児を看取みとったことから事故予防に取り組み始めた。現在、緑園こどもクリニック(横浜市泉区)院長。NPO法人Safe Kids Japan理事長。産業技術総合研究所人工知能研究センター外来研究員、キッズデザイン賞副審査委員長、内閣府教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議委員も務める。

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1件 のコメント

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幼児をもつ親として反省

魅優

4歳の女の子がいます。 プチトマトやぶどうが好きでよく食べてくれます。子が4歳になってからは私は丸ごと出していました。(もちろん口に運ぶ時から警...

4歳の女の子がいます。
プチトマトやぶどうが好きでよく食べてくれます。子が4歳になってからは私は丸ごと出していました。(もちろん口に運ぶ時から警戒を怠りませんが…)

しかし夫は今でも半分に切って出しています。「噛む力がついているし、前歯で小さく噛み切れるから大丈夫じゃない?甘やかしじゃない?」と思っていましたが、私の考えが間違っていたようです。

先日、ぶどうで窒息して亡くなったお子さんのニュースが出ました。親として反省し、子供の安全を考えて食べ物を出したいと思います。

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